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★ 準備書面(4) 津波の予見について 
第1 本書面の骨子 
平成26年8月29日

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第1 本書面の骨子
 1. はじめに
 2.予見の時期「平成14年ころ」
 3.本書面の構成



第1 本書面の骨子


 1.はじめに

 本書面は,被告東電,及び,被告国の責任原因の1つである,津波対策の不備について述べるものである。
 訴状で述べた通り,福島第一原発は,全交流電源喪失事象(SBO)を機序として炉心損傷,放射性物質の漏出に至った。全交流電源喪失事象は,地震で外部電源が喪失したのち,津波の浸水(外部溢水)により,建屋地下1階に設置されていた非常用D/G,高圧配電盤等の電気機器が損傷し,非常用の電源が使用できなかったことを原因とする(但し,1号機については,地震原因の主張を留保する)。
 従って,原告らは,予見の対象として,「福島第一原発1乃至4号機の敷地高O.P.+10mを超える津波(以下,「予見対象津波」という。)の発生」を主張する。


 2.予見の時期「平成14年ころ」

 平成20年5月ころ,被告東電は,福島第一原発敷地南部でO.P.+15.7mの津波が到来することを試算した。しかしながら,この試算は,平成14年2月土木学会発表の津波シミュレーションの手法(津波評価技術)に,同年7月地震調査研究推進本部発表の「三陸沖北部から房総沖にかけての海溝沿い」の地震の知見(長期評価)をあてはめただけのものであり,試算に時間を要するものではない。
 従って,被告東電は,遅くとも平成14年内に,「予見対象津波」の発生を予見することが可能であった。また,被告国も,津波評価技術,及び,長期評価の策定に強く関わっており,同時期に「予見対象津波」の発生を予見可能であった。


 3.本書面の構成

 本書面では,まず,地震・津波のメカニズムについて述べ(第2),ついで,津波高に関する知見の進展(津波評価技術の策定(第3),長期評価の策定(第4),東電による試算の経緯(第5))について述べる。さらに,被告らが,敷地高をこえる津波が発生すれば炉心損傷に至ることを検証していた事実(第6),東北地方太平洋沖地震と同程度の浸水域であったとされる貞観津波の知見の進展についても触れ(第7),最後に,国の予見可能性について述べる(第8)。

津波水位に関する知見の変遷と国・東電の対応 【表省略】

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