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★ 準備書面(41) ―土壌汚染と管理区域,クリアランスレベル― 
 第1 本準備書面の目的 
平成28年6月22日

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第1 本準備書面の目的

 原告らは,原告ら準備書面(3)において,区域外からの避難行為が社会通念に照らして相当性を有すること(社会的相当性を有すること)を主張し,社会的相当性を判断する上で重要な視点として本件事故発生以前にどのような法規範が設定されていたかという点が極めて重要であることを強調した。
 その上で,本件事故以前の国内外における公衆被ばく線量限度を定めた法規範や基準こそが重要であると指摘した。
 そして,本件事故以前の国内外の規制が線量限度を年間lmSvとしていることから,年間1mSvを超える地域からの避難の相当性を否定することはおよそ許されないことを主張した(以上について準備書面(3)7ページないし9ページ)。
 避難開始時に避難元の空間線量が年間lmSvを超えている場合,そもそも避難の相当性が認められる。
 この点,原告らの中には,避難元におけるモニタリングポストの数値によると空間線量が現時点では年間1mSvに満たない者も含まれる。
 しかし,空間線量が年間lmSvに満たなくなれば,当然に本件事故発生以前に設定されていた法規範に照らして,避難の相当性が失われるわけではない。
 帰還することが困難な上,以下に述べるように空間線量以外の法規範の存在することからすれば避難を継続することの相当性が認められるからである。
 すなわち,放射線障害から公衆を防護する法規範としては,空間線量以外にも放射線障害防止法に基づく管理区域に関する法規範並びに作業室及び貯蔵施設における飲食等の禁止にかかる法規範や,炉規法に基づくクリアランスレベルに関する法規範が存在する。
 そこで,これらの法規範に照らせば,すべての原告らについて避難の相当性が認められるべきことを主張する(第2第3)。
 また,その主張の根拠として,避難元住所における土壌採取を実施しているので,当該土壌採取の方法及び当該土壌に含まれる放射性物質の測定値から平米あたりの土壌汚染度を計算する方法について説明する(第4)。
 なお,モニタリングポストの数値は,設置地点の空間線量を測定するものである以上,当然ながら,避難元生活圏の一地点の空間線量を示すものに過ぎない。しかも,モニタリングポスト設置地点の多くは,学校や公園など,綿密な除染作業が行われたであろう場所に設置されているため,多くの場合において,周辺の線量と乖離していることが予測される。そこで,避難元生活圏の放射能汚染の程度を的確に把握するため,土壌採取を行ったものである。

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