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★ 準備書面(35) −被告東京電力の求釈明に対する回答− 
平成28年5月13日

  原告提出の準備書面(35)(PDF)

目 次

第1 津波に関する予見の対象

第2 予見の時期について




         記


第1 津波に関する予見の対象

 原告が主張する予見の対象は,「福島第一原発1乃至4号機の敷地高O.P.+10mを超える津波の発生」である(原告準備書面(4)第1)。


第2 予見の時期について

 平成20年3月ころ,被告東電は,福島第一原発敷地南部でO.P.+15.7mの津波が到来することを試算した(原告準備書面(31)第3)。しかしながら,この試算は,平成14年2月土木学会発表の津波シミュレーションの手法(津波評価技術)に,同年7月地震調査研究推進本部発表の「三陸沖北部から房総沖にかけての海溝沿い」の地震の知見(長期評価)をあてはめただけのものであり,試算に時間を要するものではない。
 従って,被告東電は,平成14年内に,「予見対象津波」の発生を予見することが可能である。また,被告国は,津波評価技術,及び,長期評価の策定に強く関わっており,同時期に「予見対象津波」の発生を予見可能であった。
 平成18年9月20日,保安院は,耐震設計審査指針等の耐震安全性に係る安全審査指針類(以下「新耐震指針」という)の改訂を受け,「新耐震指針に照らした既設発電用原子炉施設等の耐震安全性の評価及び確認に当たっての基本的な考え方,並びに評価手法及び確認基準について」を策定し、各電力会社等に対して,耐震バックチェックの実施とそのための実施計画の作成を求めた。同確認基準には,「地震随伴事象」として津波に対する安全性確認基準も定められている(原告準備書面(4)第5、1(1))。これを受けて,被告東電は平成19年8月20日,耐震安全性評価の見直し計画書を提出し,平成20年3月を目処に中間報告を行うこととされていた(原告準備書面(31)第3、3(3))。
 したがって、国が適切に調査義務(耐震バックチェック)を果たしていれば、平成20年3月の東電試算を知り得た(原告準備書面(30)第2第3参照)。
 以上の経緯より、原告は、被告らに共通する予見可能時期として、(1)平成14年内、また、遅くとも(2)平成20年3月を提示する。両者((1)、(2))は選択的主張の関係である。

以上

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