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 ◆ 自然災害時における人々の保護に関するIASC活動ガイドライン(日本語版)
 グループC:住居、土地および財産、生計手段ならびに中等・高等教育に関する権利の保護

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グループC:住居、土地および財産、生計手段ならびに中等・高等教育に関する権利の保護
 C.1 住居、土地および財産ならびに所有物
 C.2 仮設の収容施設、住居および退去
 C.3 生計手段および仕事
 C.4 中等・高等教育


グループC:住居、土地および財産、生計手段ならびに中等・高等教育に関する権利の保護



 C.1 住居、土地および財産ならびに所有物


  C.1.1 財産に対する権利は尊重され、保護されるべきである。この権利は、自己の住居、土地、その他の財産および所有物を妨害されることなく、また差別されることなく享受する権利として理解されるべきである。財産に関する活動は、そのような認識に従って計画されるべきである。財産権は、個人的なものであるか集団的なものであるかを問わず、公式の所有権、慣習的な所有権または長期的で争う余地のない所有もしくは占有に基づいているか否かを問わず、尊重されるべきである。

  C.1.2 自然災害によって避難を強いられた人々、コミュニティまたは先住民が残置した財産および所有物は、略奪、破壊および恣意的なまたは違法な没収、占拠または使用からできる限り保護されるべきである。

 特に、次の活動が考えられる。
  •  残置された目印となるものおよび所有物の写真記録を残す。
  •  避難者が残置した財産を記録するための標準的な形式を利用する。
  •  破壊または略奪が起こる可能性のある場所への警察官の配備を提唱する。
  •  財産を違法に占有しまたは使用している者に対して苦情を申し立てるための効果的な救済策を利用する機会を財産の所有者に対して確保する。

  C.1.3 土地の権利証書もしくは財産に関する書類が自然災害時に紛失しもしくは破損した個人所有者もしくはコミュニティ、または土地の境界標が破壊された個人所有者もしくはコミュニティは、不当に遅延されることなく自らの土地および財産の所有権を再請求する手続きを平等にかつ差別されることなく利用する機会を有するべきである。それらの人々は、その手続きに関する情報提供を受けるべきである。

 特に、次の活動が考えられる。
  •  所有者が法律相談を受けることができる。
  •  子供および女性が世帯主の世帯を含め、土地の所有権の証明書または財産書類の回復に対する円滑な履行手続きの確立を提唱する。
  •  財産関連の事案を扱う行政当局および司法当局に対する機能強化、職員増員およびその他の支援を行う。
《事前準備の対策》
  •  財産権および所有権を確定するための土地台帳およびその他の関連する書類の安全を確保し、災害に対して耐久性のある場所に保管する。
  •  関連書類の回復が不可能な場合には、災害後に、信用できる証人(例えば、隣人または村落委員会)の証言等、所有権の証明の代替の形態を認めるための関連法の改正を提唱する。

  C.1.4 既存の行政および司法手続きが不当に遅延することなく業務案件を処理することができない場合には、土地および財産に対する競合する要求に対処するための簡略化された手続きを伴う特別の制度を設け、差別されることなく当該制度を利用できるようにするべきである。この手続きは、適正な法の手続きの保障を含み、遅延なく請求権を決定するものであるべきである。決定が一方の当事者によって拒否された場合には、独立した裁判または法廷を利用する機会が保障されるべきである。

 特に、次の活動が考えられる。
  •  この手続きの導入を提唱する。
  •  この制度に対する機能の強化、人材の確保およびその他の支援を行う。
  •  この制度に携わる人材の能力育成を図る。
  •  被災者に対して自らの権利および手続きの利用に関する情報を提供する。
《事前準備の対策》
  •  この制度を構築するために関連法の改正を提唱する。

  C.1.5 被災した女性(特に死別者)および孤児は、住居、土地、財産もしくは所有物の(再)請求、または自己の名義での家屋もしくは土地の権利証書の取得にあたり支援を受けるべきである。

 特に、次の活動が考えられる。
  •  これらの人々を対象に法律相談サービスまたは法的支援を提供する。
  •  女性および子供が自己の名義の財産を所有できるよう、必要な場合には法律の改正を提唱する。
  •  子供および女性に配慮した手続きを設け、その手続きおよび利用方法に特化した情報を提供する。

  C.1.6 土地の権利に関する証明書を持たない先住民および少数民族の土地の権利および所有権に対する伝統的な請求権は、尊重されるべきである。

 特に、次の活動が考えられる。
  •  対象コミュニティに法律相談サービスまたは法的支援を提供する。
  •  先住民および少数民族が自らの土地の権利を守ることができるよう、必要な場合には法律および手続きの改正を提唱する。

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 C.2 仮設の収容施設、住居および退去


  C.2.1 提供される仮設の収容施設または住居は、国際人権法の適正条件を満たすべきである。適正条件の基準とは、入手・利用できるものであること、価格が適正であること、居住に適していること、保有権が保障されること、文化的に適切であること、立地が適切であること、保健医療および教育等の不可欠のサービスの利用が可能であること(B.1.2を参照)である。将来の災害時における損害を減らすための安全基準を尊重することも適正条件の基準である。


  C.2.2 緊急避難所から仮設の収容施設または持続的な住居への迅速な移行を可能にする適切な対策は、いかなる差別もなくできる限り早急に実施されるべきである。

  C.2.3 すべての被災集団および被災者は、借家人および所有者・借地人を対象とし、仮設の収容施設および持続的な居住に関するプログラムの計画策定および実施に関し、協議を受け、参加するべきである。緊急避難所から仮設の収容施設または持続的な住居への移転に関するいかなる決定も、当事者の全面的な参加および決定・同意が必要である。


  C.2.4 強制避難以外の状況(前述のA.1.4を参照)において、またC.2.3 に従った協議および参加にも関わらず退去が不可避となった場合には、次の保障が講じられるべきである。


  1.  被災者との誠実な協議の機会を設ける。
  2.  退去予定日の前に適切かつ合理的な事前通知を行う。
  3.  退去および将来の土地利用に関する情報を入手しやすい方法で適時に提供する。
  4.  退去が行われている間は、政府職員がその場に立ち会う。
  5.  退去させられているすべての人々の適切な身元特定および登録を行う。
  6.  退去を実行しているすべての人々の身元を適切に特定する。
  7.  悪天候または夜間の退去を禁止する。
  8.  法的救済を提供する。
  9.  必要な場合には、裁判所による救済を求めるための法的支援を行う。

  C.2.5 退去(特に、避難が行われる中で退去命令を受けた人々および避難者が残置した財産・所有物を二次占有する中で退去命令を受けた人々)については、これによりホームレスとなる状況またはその他の人権侵害を受けやすい状況を生むべきではない。自力で避難場所を確保することができない人々に対し、適切な代替の収容施設を確保するための適切な対策が講じられるべきである。

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 C.3 生計手段および仕事


  C.3.1 生計手段および雇用機会の入手・利用機会、ならびに自然災害によって崩壊した経済活動、雇用機会および生計手段を復興するプロジェクトを、差別なく、できる限り早急かつ包括的に推進するべきである。このような対策は、最大限可能な限り緊急対応の段階から行うべきである。


 特に、次の活動が考えられる。
  •  被災者のすべての層が、崩壊した生計手段の再建および再訓練の選択肢に関する意思決定について全面的に情報提供と協議を受け、その意思決定に参加することを確保するためのコミュニティ中心の戦略を策定する。
  •  高齢者等の一部の人々が正規または非正規の経済活動においてしばしば隠れた役割を担っていることを考慮し、女性を含む被災者のすべての層が再訓練および技能開発プログラムに参加できることを確保する。
  •  女性および特別のニーズを持つ人々に対して実行可能な経済的機会を提供し、これらの人々を人身売買、性的搾取および性的虐待、強制売春またはその他の悪質かつ危険な収入源から保護する。
  •  障がいのある人々またはHIV/AIDS等の長期的または慢性の疾患を持つ人々に対し、いかなる差別もなく、雇用および訓練の十分な機会を提供することを確保する。
  •  訓練プログラムが、女性、子供および社会的、経済的、民族的、宗教的または人種的な少数者が低賃金および劣悪な労働環境で望ましくない仕事を強いられるような状況を招く、既存の社会的なまたは偏見に基づいた性別による分業を助長しないことを確保する。

  C.3.2 生計手段および雇用機会を得ている被災者は、不公平、不衛生および危険な労働条件から保護されるべきである。
※児童労働および現代的形態の奴隷制に関するA.4.3も参照のこと。

 特に、次の活動が考えられる。
  •  健康、安全、公正な賃金および環境面での持続可能性に関する国際的基準が、崩壊した経済分野の再生と再建のすべての取り組みに適用され、被災者がその基準を認識していることを確保する。

  C.3.3 キャンプ、集団避難施設および永続的な移住場所は、被災者の生計手段および雇用機会の利用を奪うような地域に設置するべきではない。



 C.4 中等・高等教育

  C.4.1 特に学生が災害の結果、勉学を続ける余裕がない場合には、中等・高等教育を受ける機会はできる限り中断されるべきではない。


 特に、次の活動が考えられる。
  •  被災した学生を対象とした特別の奨学金を提供する。
  •  被災した学生に対する学費の減免を行う。
  •  被災した学生が受けることができなかった試験を補うため、特別の学習課程を設け、特別の試験期間を設置する。

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