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 ◆ 自然災害時における人々の保護に関するIASC活動ガイドライン(日本語版)
 付属資料I:用語解説

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付属資料I:用語解説

IASC活動ガイドラインの適用上、次のとおり用語を用いる。


人道的対応に寄与する組織: 緊急段階の間およびその後において被災者に対する保護および支援を実施する政府間組織・機関および(国際的なまたは国内・地域の)非政府組織・機関または政府もしくは準政府の災害対応組織。

被災者: 避難を強いられたか否かを問わず、特定の災害の負の影響を被った人々。例えば、災害による負傷、財産および生計手段の消失ならびにその他の災害による被害を被った人々。

キャンプ: 災害発生時に避難者を受け入れるための集団のおよび共同使用の収容施設として使われる非持続的な避難所(例えば、テント)を備え、新たに建設された場所。キャンプは計画的に建設することもでき(例えば、その目的のために建てられ、人々の流入の前またはその間に完成されたもの)、自ら設置することもできる(例えば、政府または人道支援組織の支援を受けることなく、自主的に建設する場合)。キャンプは集団避難所の一種である(下記を参照)。

集団避難施設: 災害発生時に避難者を受け入れるための非持続的な集団のおよび共同使用の収容施設として使われる既存の建物および構造物。避難施設として使われる建物および構造物の種類は、大きく異なる。これには、学校、コミュニティセンター、町役場、ホテル、スポーツ施設、病院、宗教的記念建造物、駐在所、兵舎、倉庫、廃墟となった工場、建設途中の建物等が含まれる。集団避難施設は、集団避難所の一種である(下記を参照)。

集団避難所: 上記のキャンプおよび集団避難施設。

災害:コミュニティまたは社会の機能の深刻な混乱で、被災コミュニティまたは被災社会が自らの資源だけでは対処することができない、広範囲にわたる人的、物質的、経済的または環境的損失を引き起こすもの1
 1 国連国際防災戦略(ISDR)「防災用語集(UNISDR Terminology on Disaster Risk Reduction)」を参照。
URL: www.unisdr.org/eng/library/UNISDR-terminology-2009-eng.pdf

災害管理または緊急事態の管理: 緊急事態のあらゆる側面、特に事前準備、対応および初期の復旧・復興段階に対処するための資源および責任の組織化および管理2
 2 国連国際防災戦略「防災用語集」を参照。URL: www.unisdr.org/eng/library/UNISDR-terminology-2009-eng.pdf

差別: 人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的もしくはその他の意見、民族的もしくは社会的出身、財産、出生、年齢、障がいまたはその他の個人の地位に基づく不利な区別。これらの基準ではなく、客観的かつ重大な理由(例えば、特定の脆弱性、他人と異なる特定のニーズ)に基づいて人に有利な待遇を行うことは、当該者がそのような要素を抱えていたとしても、差別には当たらない。

強制移動の影響を受けたコミュニティ: 自らの住居もしくは常居所地から逃れもしくは離れなければならなかったため、避難者を受け入れなければならなかったため、または自らの住居および常居所地に帰還したもしくは国内の別の場所に持続的に再定住した元避難者を受け入れ、統合しなければならなかったため、強制移動の負の影響を被ったコミュニティ。

持続的な解決: 国内での強制移動の状況で、避難者の強制移動に関連した具体的な支援および保護のニーズがなくなり、強制移動を理由に差別されることなく人権を享受できる状況。これは、次のことを通じて達成しうる。
  1.  元の居住地における持続的な再統合(以下、「帰還」)
  2.  避難者が避難している地域における持続的な統合(「避難地での統合」)
  3.  国内の別の場所における持続的な統合(「国内の別の場所での定住」)。これは災害の被災者にも適用されうる。
国際的な基準(移動の自由および自己の居住地選択の自由に対する権利、「国内強制移動に関する指導原則」)によれば、あらゆる解決策は自由意思、すなわち当事者の情報提供を受けた上での決定および自由な選択に基づくものでなければならないとされる。

避難: 「個人または集団の安全、安心および福利を確保するため、ある地域・土地から別の地域・土地への移動を推進しまたは組織すること」3。避難は、当局によって命令されまたは執行された場合には強制となる。強制避難は、法律の規定に従って行われ、被災者の生命、健康または身体の健全性を保護するために絶対に必要である場合には、また被災者との適切な協議によって緊急の状況が許す限りにおいては、恣意的または違法であるとはみなされず、従って容認しうるものとされる。
 3 「国内避難民の保護のためのハンドブック(Handbook for the Protection of Internally Displaced Persons)」(2010年3月)503頁を参照。

避難施設: 避難者を一時的に受け入れるために使われる集団避難所(上記を参照)。

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家族の再会: 「長期的な保護体制を構築しまたは再構築する目的で、家族、特に子供および高齢の被扶養者を家族または以前の保護提供者と引き合わせる過程」4
 4 「国内避難民の保護のためのハンドブック」503頁、随伴者のいない子供および家族と離散した子供に関する機関間作業グループ(Inter-agency Working Group on Unaccompanied and Separated Children)作成の「随伴者のいない子供および家族と離散した子供に関する機関間指導原則(Inter-Agency Guiding Principles on Unaccompanied and Separated Children)」(2004年1月)を参照。

強制退去:適切な形態の法的またはその他の保護の提供およびその利用機会がないまま、個人、家族またはコミュニティをその意思に反してその占有する住居または土地から持続的にまたは一時的に引き離すこと5。強制退去の概念は、法律に従いかつ国際的な人権条約の規定に沿って行われる退去には当てはまらない6。強制退去は、恣意的な住民移転を必ずしも意味しないが、それに至る最初の段階となる可能性がある。

 5 「国内避難民の保護のためのハンドブック」503頁、国連経済的、社会的および文化的権利に関する委員会の一般的意見第7「十分な住居に対する権利:強制退去(The right to adequate housing: forced evictions)」(1997年5月20日)のパラグラフ3を参照。
 6 「開発に基づく退去および移動に関する基本原則およびガイドライン(Basic Principles and Guidelines on Development-basedEvictions and Displacement)」(国連文書A/HRC 4/18)のパラグラフ4および脚注a)を参照。

ジェンダーに基づく暴力行為: 「肉体的、精神的または性的な危害または苦痛、そのような行為を行うという強迫、強制およびその他の恣意的な自由の剥奪を含む、ジェンダーまたは性に基づいて行われる」暴力。「これには、家族、コミュニティ全般の中でまたは国家およびその機関によって犯されまたは看過される肉体的、性的および精神的な暴力行為が含まれる」7
 7 「国内避難民の保護のためのハンドブック」168頁、1993年12月20日付国連総会決議48/104「女性に対する暴力撤廃宣言(Declaration on the Elimination of Violence against Women)」第1条および第2条を参照。

受け入れコミュニティ: キャンプ、集団避難施設、非正規の居住地で暮らすまたは一般家庭に直接統合される多数の避難者を受け入れるコミュニティ8
 8 「国内避難民の保護のためのハンドブック」504頁を参照。

国内避難民 〔訳注:ガイドラインの日本語版でいうところの「避難者」〕:「特に武力紛争、一般化した暴力の状況、人権侵害もしくは自然もしくは人為的災害の影響の結果として、またはこれらの影響を避けるため、自らの住居もしくは常居所地から逃れもしくは離れることを強いられまたは余儀なくされた者またはこれらの者の集団であって、国際的に承認された国境を越えていないもの」9
 9 「国内強制移動に関する指導原則(Guiding Principles on Internal Displacement)」(E/CN.4/1998/53/Add.2)の「範囲および目的」の2を参照。

生計手段: 「生活するために使われる資源および行われる活動を総合したもの。ここでいう資源は、個人の技能および能力(人的資本)、土地、貯蓄および備品(それぞれ自然、経済的および物質的資本)ならびに活動を支援する正式な支援集団または私的なネットワーク(社会的資本)から構成される」10
 10 2010年3月発行「国内避難民の保護のためのハンドブック」508頁、英国国際開発省(DFID)作成の「持続的な生計手段に関する指導要綱(Sustainable Livelihoods Guidance Sheets)」(2001年)を参照。

自然災害: 突発的な自然のハザードによって引き起こされる「災害」(「災害」の項を参照)。突発的な自然のハザードの影響の規模は、自然のハザードから生じる脅威と個人および社会との関係の直接的な結果であるが、分かりやすいように「自然」災害という言葉が使われる。従って、影響の規模は、人間の行動またはその欠如によって決まる。活動ガイドラインは、突発的な災害を念頭に置いて作成されているが、その他の種類の災害にも適用しうる。〔訳注:hazardは「災害外力」とも訳される。〕特定のニーズを持つ人々:特に性別、年齢、健康状態、障がい、少数者への帰属、特定の社会的地位、先住民としての出身、または国内での強制移動および当事者のその他の具体的な事情によって、一般的な人々のレベルを超えた危険にさらされている人々。

保護: 国際人権法、(および適用可能な場合には)難民法および人道法の文言と精神に従い、個人の権利の完全な尊重を確保するためのすべての活動を含む概念。保護には、人間の尊重を導く環境の創造、具体的な侵害行為の差し迫った影響の防止または軽減、ならびに賠償、弁償および回復を通じた尊厳のある生活状態の復元が含まれる11
 11 国連人道問題調整事務所(OCHA)作成の「武力紛争における市民の保護に関する人道用語集(Glossary of Humanitarian Terms inrelation to the Protection of Civilians in Armed Conflict)」(2003年)を参照。

移住:
  1.  一時的な移住:帰還または国内の別の場所での定住が可能になるまで留まる場所に避難者を移動させること。
  2.  永続的な移住:元の住居または常居所地に帰還できなくなった被災者を国内の別の場所に移動させ、そこに再定住させること。移住には、被災者の同意に基づく自主的なもの、または被災者の意思に反した強制的なものがある。移住は、国内の別の場所での持続的な定住という意味で持続的な解決(「持続的な解決」の項を参照)につながる場合にのみ成功したといえる。

賠償: 人権侵害の被害者に対する返還、補償、回復、〔被害者の〕満足および二度と繰り返さないという保障。賠償は、人権侵害および被害の重大さに見合っており、被害者が賠償制度に関連する情報を持ち、その制度を平等かつ効果的に利用する機会を有する場合において、完全かつ効果的であるといえる12
 12 現行の国際慣習法では、賠償は重大な人権侵害の場合にのみ適用される(2006年3月21日付国連総会決議60/147「国際人権法の重大な侵害および人道法の深刻な侵害の被害者の救済および賠償に対する権利に関する原則およびガイドライン(Principlesand guidelines on the right to a remedy and reparation for victims of gross violations of international human rightslaw and seriousviolations of humanitarian law)」を参照)。重大性の低い事案における補償義務は、国際的な人権条約に基づいて行われる。

自然災害の二次的被害: 自然災害の二次的被害には、大雨または地震活動によって引き起こされる土砂崩れ等の自然のまたは物理的な影響が含まれる。これらには、初期災害が産業施設およびインフラストラクチャーにもたらす影響(例えば、水力発電所のダムへの被害、または人間の健康および生命への脅威となる危険物質を漏洩させる可能性のあるパイプラインおよび化学工場への被害)も含まれる。

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