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★ 最終準備書面(相当因果関係) 
 第10 最後に 
平成29年9月22日

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第10 最後に

 強制的に避難を指示された者が,原発事故によって住み慣れた土地を奪われたことは明らかであるが,避難指示が出されていない地域から避難した本件訴訟の多くの原告らも,住み慣れた土地,故郷を安易に捨てたのではない。
 原子力発電所が爆発を起こした直後はもちろんのこと,それ以後も避難を継続しているのは,子どもをはじめ愛する者の生命・健康への影響を真剣に考え,悩み苦しんだ末の結果である。
 ところが,被告らは,「公衆被ばく線量限度は,緊急時被ばく状況や現存被ばく状況においては『適用されない』」と述べるのみである。そこには,原告らが,幸せに暮らしたい,健康に暮らしたい,日本の他の地域と同様に平穏に暮らしたい(平時の状態のなかで暮らしたい)という願いを有していること,悩み葛藤しながら避難を選択せざるを得なかったことに対する想像力(相当因果関係の有無についての誠実な検討の形跡)というものが一切存しない。
 「公衆被ばく線量限度は平時にのみ適用される」との趣旨の主張を行っている被告らは,自らの過失で原告らの住む地域を放射能に汚染させて平穏な生活を奪い,「平時の状態」を失わせながら,原告らが平時の,平穏な生活を送りたいとする思いを,ただ「適用されない」という一言で片づけようとしているのである。
 そればかりか,区域外から避難した原告らが異常に神経質であり,特殊であるかのように論じ(相当因果関係が存しないとの主張は,まさに,そのような内容を前提とするものである),「自己責任」の名のもと切り捨てようとしているのである。
 裁判所におかれては,低線量被ばくに関する社会規範等を十分に考慮され,原告らの選択が異常特殊なものではなかった,悩み苦しんだ末の結論であったということを判決によって示していただきたいと切に希望する次第である。

 以 上

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