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目 次(←「最終準備書面(責任論)目次に戻ります) 第3 国の主張する二次的,補完的責任論について 1 被告国の主張 2 国の規制権限不行使と事業者の責任との関係 3 原子炉の利用及び安全確保 4 国の結果回避義務の程度 5 国の責任の範囲 第4 相互主義(国賠法6条)について 第3 国の主張する二次的,補完的責任論について 1 被告国の主張 被告国は,規制権限の不行使の違法を判断した各種判例においては,事業者の一次的かつ最終的責任を前提としていると主張し(被告国第24準備書面第2 1項),原子力利用に関する各種法令の規定も,原子炉の利用及び安全確保については,事業者の一次的かつ最終的責任を前提としていると主張する(同書面第2 2項)。 そして,そのことを前提として,被告国が高度の結果回避義務(情報収集義務,調査義務)を負担するものではないこと(同準備書面第3)及び被告国の責任の範囲は,第一次的責任者である被告東電と比して相当程度限定されたものになるべきであることを主張する(同書面第4)。 しかし,当該主張は,その前提を誤っている。 2 国の規制権限不行使と事業者の責任との関係 被告国は,クロロキン最高裁判決を引用するが,同判決は,国の二次的,補完的責任に触れるものではない。 そもそも,薬事法に基づく権限不行使については,いわゆる薬害肝炎事件において国の責任を認めた東京地裁判決(平成19年3月23日 判例時報1975号72頁)等は,国に被告製薬企業と同一範囲での責任を認容している。 また,筑豊じん肺福岡高裁判決(平成13年7月19日 判例時報1785号89頁)は,「労働者がじん肺に罹患し又は増悪させることがないようにその安全を配慮すべき義務は,第一次的かつ最終的には使用者に課せられた義務であり,一般的には,使用者の責任及び労使の協議等によって実践されるものであ」ることを前提に判断をしている。すなわち,同事案は労働者の安全確保は一次的には使用者にあるという当然の事理に基づいたものであって,原子力利用にあたって,国が国民に対して負っている責任とは全く事案を異にする。 労働者には,使用者との労使協議を通じて自らの身の安全を守ることがある程度期待することができる。その観点からは,労使協議の当事者たる使用者に安全確保の一次的責任を負わせることは不合理とは言えない。 しかし,原発における住民の安全性確保は,そのようなことが一切期待できない。 そもそも,原子力安全は高度の専門性を有しなければ,その妥当性を判断することはできない。原発に求められる安全性は,前記の通り,平成15年に提示された安全目標,平成18年に提示された性能目標等によって判断されるが,いずれも極めて技術的な内容を含む。そして,性能目標を達成しているかどうかはPSAという専門技術的な知見に基づかなければ,施設がその性能目標に達しているか否かを判断することはできない。 このように高度の専門性に基づかなければ,その安全性を確認できない原発については,むしろ被告国こそが,率先してその規制権限を行使して,安全性確保に努力することが求められているのである。 したがって,本件において被告国に補完的,二次的責任の名の下にいささかでも免責を認めることは妥当ではない。 3 原子炉の利用及び安全確保 原子炉の利用及び安全確保に関する法的規制は,訴状においても示したとおり(訴状請求の原因第2章第2),国の規制権限は広範にわたる。 その上,国は,規制権限を行使するためにその技術的支援を受けるために独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)を設置する等して,主体的に原子炉利用及び安全確保にあたっていた。すなわち,旧独立行政法人原子力安全基盤機構法4条によれば,JNESは,原子力施設及び原子炉施設に関する検査等,原子力施設及び原子炉施設の設計に関する安全性の解析及び評価並びに原子力災害の予防,原子力災害の拡大の防止及び原子力災害の復旧に関する業務等を行うことにより,原子力の安全の確保のための基盤の整備を図ることを目的としていた。 また,国が規制権限を行使する前提として,被告国は,被告東電ら電気事業者,電事連,土木学会など利害関係者に指示して報告を求める方法,外部団体に委託して調査研究を行う方法,被告国の機関が調査(「立入検査」,「安全解析・評価」,「安全関連情報の調査」,「試験・研究」)を行うなど,様々な行政調査をおこなっている(詳細は準備書面(44)第1)。 このように労働者安全の確保一般を目的とするじん肺のケースと本件とは全く異なる。 △ページトップへ 4 国の結果回避義務の程度 被告国は,JNESを通じて原子力の安全確保のための基盤整備を行っていた。 また,被告国は,地震津波等についても,地震調査研究推進本部の長期評価を通じて,常に主体的にその危険性を知りうる立場にあった。 そもそも,被告国に与えられていた規制権限の根拠となる法令は,原子力施設からのリスクを極めて低い水準に抑制することを求めていたと解釈すべきである(本準備書面第1,3項(4)等)。 したがって被告国には,かかる観点から高度な結果回避措置を講じる責任を負っていたものである。 5 国の責任の範囲 原子炉の利用については,国策民営といわれる実態があったのであり,その責任を企業の責任に比して限定することには一切理由がない(以上については訴状第6章第1及び第2参照)。 第4 相互主義(国賠法6条)について 大韓民国については国家賠償法に相互保証の規定があるため,韓国籍の原告に対しても日本の国賠法の適用がある(大阪地裁判決昭和48年9月19日 下級裁判所民事裁判例集24巻9~12号650頁。大阪高裁判決昭和54年5月15日 下級裁判所民事裁判例集33巻1~4号439頁等)。 △ページトップへ 原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会 〒612-0066 京都市伏見区桃山羽柴長吉中町55-1 コーポ桃山105号 市民測定所内 Tel:090-1907-9210(上野) Fax:0774-21-1798 E-mail:shien_kyoto@yahoo.co.jp Blog:http://shienkyoto.exblog.jp/ |
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