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★ 準備書面 (47) −被告東電による求釈明に対する回答− 
2016〔平成28〕年9月9日

目 次

第1 本準備書面の目的

第2 相当因果関係の判断枠組と土壌汚染の主張との関係について
 1 公衆被ばく線量限度年間1mSv超の主張との関係
 2 低線量被ばくの健康リスク等と土壌汚染の主張との関係について
 3 土壌汚染の認識の有無について



第1 本準備書面の目的

 本準備書面においては,被告東京電力共通準備書面(15)における求釈明事項について,必要な範囲で回答を行う。


第2 相当因果関係の判断枠組と土壌汚染の主張との関係について


 1 公衆被ばく線量限度年間1mSv超の主張との関係

 原告らは,避難の相当性判断が社会通念に基づくものであること,相当性判断の評価根拠事実としては,本件事故の発生した時点において存していた事情及び事故後の事情を総合的に勘案すべきであること,なかでも,事故当時に存在した国内法における公衆被ばく線量限度が極めて重要であると主張しているところである(原告ら準備書面(3))。
 この点,土壌汚染の事実も,相当因果関係判断において総合的に勘案すべき本件事故後の事情のひとつとして,原告ら準備書面(22)で主張したところである。
 さらに,土壌汚染に関しては,一定の汚染濃度を超える場合に種々の規制を課す事故前の規範が存在しており,その基準となるのが炉規法上のクリアランスレベルであり,放射線障害防止法上の表面密度限度である。
 そこで,原告らは,総合的に勘案すべき事故後の事情のひとつである土壌汚染の事実について,相当性を根拠付ける実質的理由をより明確にするため,法規範の定める「表面密度限度」ないし「クリアランスレベル」を超える土壌汚染濃度の存在と,これらを超えた場合に課される規制内容を主張立証したものである。

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 2 低線量被ばくの健康リスク等と土壌汚染の主張との関係について

 原告ら避難元住所付近に「表面密度限度」ないし「クリアランスレベル」を超える土壌汚染が生じているという事実の持つ決定的に重要な意味は,原告らの避難元が,土壌汚染の観点からすれば,本来厳格な規制がされるような場所であって,そこでの生活を強要されるべきではない,すなわち,原告らの避難(継続)が相当であるということなのである(原告ら準備書面41参照)。
 「表面密度限度」ないし「クリアランスレベル」の基準値を採用する際にあたって,健康リスクの存在や機序,リスクの程度は十分に考慮されているはずであり,立法過程において解決済みの問題である。


 3 土壌汚染の認識の有無について

 本件における相当因果関係の判断方法は,前記1項記載のとおりであるから,個々の原告らが実際に,法規制の内容や,その規制限度を超える量の放射性物質に曝露していることを認識している必要はない。

以上

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