TOP    裁判資料    会報「原告と共に」   げんこくだより   ブログ   リンク

★ 準備書面(25) −SA対策の規制権限不行使の違法について− 
 第2 IRRS,IAEA事務局長報告 
平成28年1月20日

目 次(←クリックすると準備書面(25)の目次に戻ります)



第2 IRRS,IAEA事務局長報告

 原告ら準備書面(23)第2で述べたとおり、IAEA事務局長報告書(甲A15)は、2007(平成19)年6月のIAEA総合規制評価サービス(IRRS)ミッション[2]が、日本の規制当局に対する評価(甲C61-2)として、「日本の発電所は、予防措置によって確保されているとおり十分に安全であるとみなされているため、設計基準を超える[事故]の考慮に関する法的規制はない」と結論づけたことを問題点として指摘する。また、IAEA事務局長報告書は、「2007年の日本へのIAEAのIRRSミッションは、設計基準を超える事故に関する規制要件の必要性を提案し、原子力安全・保安院がこれらの事象の考慮に対する系統的アプローチを開発し続けること、及び確率論的安全評価とシビアアクシデントマネジメントの補完的使用について提案した。」、しかし「同ミッションの提案は、この分野における更なる努力を喚起することにはつながらなかった。」と報告している。
 IAEA総合規制評価サービス(IRRS)ミッションが、上記の助言、勧告を行うにあたり参照したIAEA安全基準シリーズはGS-R-1である。また、2003年にはすでに、NS-R-1、NS-R-1及びNS-R-3が公刊されており、2007年にはNS-G2.15の作成に着手されていた。
 すなわち外部事象に対する確率論的評価を規制要件化すべき根拠となるIAEA安全基準はこの時点ですでに所与のものであった。これら当時の状況を前提として、IAEA事務局長報告は、「定期安全レビューは、許認可取得者と規制当局が新しい情報と現行の基準及び技術に照らして、設計と外部ハザードを再検討する公式メカニズムである。日本では、2003年に発行された規制により、10年間隔の定期安全レビューが要求されたが、対象範囲が限られており、また、外部ハザードの再検討を要求していなかったことから、国際的慣行と完全に一致するものではなかった」と評価したのである(甲A15-61)。

[2] 2007(平成19)年6月に実施され、同年12月に報告書が公表された。

 △ページトップへ

原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会
  〒612-0066 京都市伏見区桃山羽柴長吉中町55−1 コーポ桃山105号 市民測定所内
   Tel:090-1907-9210(上野)  Fax:0774-21-1798
   E-mail:shien_kyoto@yahoo.co.jp  Blog:http://shienkyoto.exblog.jp/
Copyright (C) 2017 原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会 All Rights Reserved. すべてのコンテンツの無断使用・転載を禁じます。