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目 次(←クリックすると準備書面(25)の目次に戻ります) 第1 本件事故当時のIAEA安全基準 1 IAEA安全基準とは 2 IAEA安全基準は国際的慣行である 3 IAEA安全基準の構造 4 事故当時に存在した安全基準(安全要件、安全指針) 第1 本件事故当時のIAEA安全基準 1 IAEA安全基準とは 国際原子力機関(IAEA)は、原子力施設及び活動の安全に関する共通の基盤を加盟国に提供することを目的として、国際的合意を得た調和のとれた安全基準を整備し、「IAEA安全基準シリーズ」として発行している。 2 IAEA安全基準は国際的慣行である IAEA安全基準は、法的拘束力を有するものではないが、その一方で、「加盟各国がその活動に応じてそれぞれの判断により、国の規制に取り入れるもの」であり、「IAEA自身の活動及びIAEAによって支援された活動については、安全基準の適用が義務付けられている」(甲C63「No.NS-R-1」iii頁)。また、以下の理由により、加盟各国の原子力安全規制の妥当性評価の一つの指標と見なされる。
以下、福島第一原発事故時までに策定されていたIAEA安全基準を上げ、被告国が省令制定権限を行使し、SA対策を規制要件化すべきであったことを述べる。 [1] 平成八年十月十八日政令第十一号 発効日:H08.10.24(H08.10.18 外務省告示 513) △ページトップへ 3 IAEA安全基準の構造 IAEA安全基準は、安全原則、安全要件、安全指針の3種類に分類される。 (1)安全原則 安全原則は、基本的な安全の目的と、防護と安全の原則を示し、安全要件のための基礎を示すものである。具体的な要件は、「安全要件」によって定められている。事故時には「安全原則」として安全基準シリーズNo.SF-1が刊行されていた(2006(平成18)年 甲C67)。 (2)安全要件 安全要件は、安全を確保するために、原子炉施設が満たされなければならない要求事項を定めている。 (3)安全指針 安全指針は、安全要件を満足するための活動、条件又は手続き等の推奨事項を記載している。 (4)安全基準シリーズの義務付けの程度 安全基準シリーズにおける要求事項は、「shall文(ねばならない)」及び「should文(すべきである)」として使い分けがなされている。 「shall文(ねばならない)」は、要件を満たすことを義務付けている。 「should文(すべきである)」の文言で表現され、推奨された対策または条件をみたすための代替手段の採用を要請している(甲C63-iii頁「No.NS-R-1」)。 △ページトップへ 4 事故当時に存在した安全基準(安全要件、安全指針) 既存の安全基準シリーズは以下の表のとおりである(甲A3-300政府事故調)【表省略】 (1)NS-R-1:「原子力発電所の安全:設計」 2000(平成12)年公開の安全要件NS-R-1:「原子力発電所の安全:設計」は、5層の深層防護概念を前提に、所外に起因する事象(外的事象)を含む防護策の具備を加盟国に要請した(甲C63−5)。【図省略】 そして、設計基準事故を越える事象(深層防護第4層)に対し、「工学的判断と確率論的手法の組み合わせを用いて、合理的で実効可能な発生防止策及び影響緩和策を特定するため事象推移を決定しなければならない」「確率論的手法、決定論的手法及び適切な工学的判断を組み合わせて、シビアアクシデントに至る重要な事象推移を同定しなければならない」とする。これは、原告の主張する、確率論的評価、事故シーケンスの同定を指すものである。 また、「選定された事象の発生頻度を減らすか、または、起きた場合の影響を緩和できる可能性のある設計変更や手順について評価し、合理的に実行可能であれば実施しなければならない」として、事故発生防止のための対策を義務付けている。 [甲C63-18,19頁]【図省略】 確率論的手法の説明においては、「外的危険事象、特に発電所の敷地に特有なものの発生確率及び影響を評価する」こと、「シビアアクシデントの発生確率を低減できるか、または、その影響を緩和できる設計改善又は運転手順の変更が可能な系統を明らかにする」こと等を目的として「発電所の確率論的安全解析が実施されなければならない」としている。 [甲C63-27,28]【図省略】 更に、発電所に対する外部事象の例等については、安全シリーズNo.50-C-Sに委ねられている(甲C63-51 附属書I-12)。安全シリーズNo.50-C-Sは、安全要件NS-R-3「原子炉等施設の立地評価」(甲C68-1:2003(平成15)年刊行)によってブラッシュアップされた。 (2)NS-R-3:「原子炉等施設の立地評価」 NS-R-3:「原子炉等施設の立地評価」(甲C68:2003(平成15)年刊行 安全要件)は、外部事象として、「地震に起因する水波」すなわち津波を挙げ、「有史以前及び歴史上のデータの収集」して確率論的安全評価を行うことを要請している。 2.18 主要な外部現象に関連する危険性を決定するために適切な手法を採用しなければならない。これらの手法は、最新のもので、当該地域の特徴に合致したものであるという点から正当化されなければならない。適用可能な確率論的手法については特別な考慮が払われるべきである。外部事象に対する確率論的安全評価を行う際には、一般に、確率論的ハザード曲線が必要となることに注意すべきである。 (3)NS-G2.15:「原子力発電所のシビアアクシデントマネジメント計画」 さらに、IAEAは2009(平成21)年に、NS-G2.15:「原子力発電所のシビアアクシデントマネジメント計画」(安全指針 甲C16)を作成し、洪水を含む外部事象設計基準を越える事故のPSA評価を推奨した。さらに、「外部事象により提起される具体的な脅威」として、「電源喪失、制御室や電源開閉装置室の喪失」を挙げている。 同基準の作成に国は関与しており、2005(平成17)年に同基準の草案を知り得た(原告準備書面(8) 第3,2(2)参照)。 1.7. この安全指針は、第一に、原子力発電所の運転組織、電力会社、およびそれらの支援組織が使用することを意図したものである。この指針は又、規制当局が関連する国内の規制要件の作成を促進するために使用されることもある。 (4)NS-R-2:「原子力発電所の安全:運転」 NS-R-2:「原子力発電所の安全:運転」(甲C69 安全要件 2000(平成12)年刊行)は、原子力発電所の運転から廃止措置に至るまでの安全運転の要件を定めたものである(甲C69-1)。 同安全基準は、第5章第10項以下「運転指示書と運転手順書」の項目において運転指示書及び運転手順書の作成、検討、妥当性評価等の管理手順の策定を義務付けているところ、設計基準事象を超える事故に対しても、緊急運転手順書又はシビアアクシデントマネジメント手引書の策定を義務付けている(甲69-14,15)。【図省略】 また、同安全基準は、第10章「定期安全レビュー」の項目において、運転中の原子力発電所に関して定期安全レビュー(PSR)による安全再評価を求めている。そして、現行の安全解析書の妥当性をPSRによって判断すべきこと、また、PSRについては確率論的安全評価(PSA)を利用することを求めている(甲C69-23,24)。【図省略】 (5)GS-R-1: 「原子力、放射線、放射性廃棄物及び輸送の安全のための法令上及び行政上の基盤」 GS-R-1:「原子力、放射線、放射性廃棄物及び輸送の安全のための法令上及び行政上の基盤」(安全要件 2000年刊行 甲C70)は、原子力施設の安全その他に関する、「法的な責任と行政の責任に関する」要件を定めるものであり、規制機関設置のための法的な枠組みの策定もその対象である。同基準は、規制プロセスの各段階にて審査評価をすべきこと、規制の程度は危険の大きさ、性質に見合うものであること(危険の大きい施設に対しては厳格な許認可手続きを要すること)、及び、加盟国が規則及び指針を策定する際には、IAEA安全基準のような国際的な基準を考慮すべきことを要求している。【図省略】 △ページトップへ 原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会 〒612-0066 京都市伏見区桃山羽柴長吉中町55−1 コーポ桃山105号 市民測定所内 Tel:090-1907-9210(上野) Fax:0774-21-1798 E-mail:shien_kyoto@yahoo.co.jp Blog:http://shienkyoto.exblog.jp/ |
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