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★ 第1回控訴審 原告意見陳述 

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第1回控訴審 意見陳述書

 2018年12月14日 福島敦子

 国と東電は,私達原告を見捨てようとしています。
 そんな中,私たち原告は,この裁判に絶対に勝たなければならない理由があります。放射性物質拡散による放射能の被ばくから逃れる権利はこの裁判に勝たなければ得ることはできないからです。
 私たちは,自主的に避難したのではありません。逃げざるを得なかったのです。
 私たちが後ろ髪引かれるように後にした「水は清き故郷」は,放射能に汚染されていますが,国や東電は健康影響が確認できない程度の被ばくだと言い,そして,避難指示区域外からの避難者はゼロリスクを求めているのだと冷たく笑っています。
 しかし,どうして私たちだけが健康被害が出るまで,被ばくを受け入れないといけないのでしょうか。
 3月11日の福島第一原子力発電所の爆発事故による放射性物質の拡散が始まった直後から国と東電は放射能汚染,被ばくをないことにするために,行政はもちろん,マスメディア,教育をとおして人々の心をコントロールしてきました。
 まず,「避難者はただ不安から逃れるために逃げた特別な人たち」というイメージを植え付けさせました。
 1日でも早く原発事故は無かったものにしたいがために,避難者たちの命を育む避難者用住宅から強制的に追い出し,世界から国際法違反だと批判されても,国民に知らされることはありません。
 放射能汚染による人々の甲状腺ガンの多発においては,国が子ども達の多発をようやく認めても,原因を福島第一原子力発電所の爆発事故による放射性物質の拡散とは認めていません。
 3人の原審裁判官を含む国民の「命」よりも経済最優先のこの国のあり方を,私たち原告は到底許すことはできません。ならぬものは,ならぬのです。

 原告の私たちは,未来ある子ども達さえ守らない国だと知った時,家族とりわけ子ども達を守るのは自分しかいないと思いました。
 迷いながらも生活基盤であるあらゆる事を天秤にかけ,老親や子ども達が健康でいられる事を最優先に行動してきました。
 放射能は目に見えない,感じられない,本当に恐怖そのものなのです。被ばくを避けるため避難したことは,特別なことではなく当然のことなのです。
 その原発事故はまだ収束していない,危険な状態が続いているのですから,避難者はどうして戻れるのでしょうか。

 思いがけない困難を覚悟して避難を決断した障害をもつ人たちの壮絶な避難生活,避難してもまた避難元へ戻ることを多くの葛藤の中で苦渋の決断をした原告たち。
 裁判官のみなさまにはその一人一人にどうか思いを馳せていただきたいです。
 原発事故当時,しきりに言われていた「ただちに健康に影響はありません。」
 さて,ただちに,はいつまでなのでしょうか。
 すでに,影響があるかもしれない時期に来ていると国さえもようやく認めてきたのですから,出来るだけ追加被ばくを避け,安心して暮らしたいと願うのは当然の事です。

 国と東電は,事故そのものの責任を認め,すべての国民の命を守ることに舵をきっていただきたい。裁判官の皆さんも決して他人事ではないのですから,我が身に置き換えて考えてほしいです。
 私たちの避難の権利を認めて下さい!!

 最後に。私たち原告一人一人の「命」と裁判官のみなさまの「命」と向き合って判断してほしいと強く望みます。

 これで意見陳述を終わります。

以上

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