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★ 準備書面(54) ―高橋意見書について― 
 第4 高橋意見書の信用性 
平成29年8月18日

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第4 高橋意見書の信用性
 1 潜伏期間についての高橋氏の指摘が不当であること
 2 平均潜伏期間を4年としたことについての高橋氏の指摘が不当であること
 3 小括



第4 高橋意見書の信用性


 1 潜伏期間についての高橋氏の指摘が不当であること

 高橋意見書の津田論文に対する批判の一つは、潜伏期間に関するものであるが、津田論文が「平均」潜伏期間について論及していることは、疫学の基本的な知識を持っている者が正確に津田論文及び津田回答を通常の注意力をもって読めば、間違うはずのない誤った指摘である。
 ここから導き出される可能性は二つのうち、いずれかである。
 一つは、高橋氏が疫学の知識に乏しく津田論文を読み誤った可能性である。
 もう一つは、「平均」と必ずしも記載されていないことを奇貨として、その意味を知らない一般人である読み手を故意に誤解に導こうとした可能性である。


 2 平均潜伏期間を4年としたことについての高橋氏の指摘が不当であること

 平均潜伏期間を4年と設定したことについて、高橋意見書は、現実的にあり得ないと断言する。
 しかし、津田論文は、5.1mm以上の結節か20.1mm以上の嚢胞がある状態から臨床的に検出可能になったり、手術するまでの期間を潜伏期間(前臨床的有病期間 latent duration)として定義しているのである。もともと、そうしたある程度の大きさをもった結節、嚢胞が、臨床的にがんと診断されたり手術するまでの期間の平均なのであるから、通常人の感覚としても、それが「現実的にあり得ない」とは受け止められない。
 加えて、この潜伏期間については、津田回答で1年から20年までの感度分析をしても、結論に影響がなかったことが記載されている。
 それなのに、高橋氏は、4年以外の場合の結果についても検討が必要なのではないかと指摘している。高橋氏が津田回答を読んでいないことは、ほぼ確実である。
 高橋氏が津田論文に寄せられた批判的なレターを引用しながら、それに応答した津田回答を読まずに、津田氏らへの批判を内容とする高橋意見書を作成したのであるから、極めて不誠実な態度と言わざるを得ない。


 3 小括

上記いずれの点からも、高橋意見書には、科学的な議論においてみられる意見の相違とは言いがたい内容が含まれており、およそ信用性に欠けるものである。

以上

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