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★ 準備書面(42) −求釈明に対する回答− 
平成28年6月22日

  原告提出の準備書面(42) (PDF)


被告国の平成28年5月27日付求釈明の申立に対し、下記の通り回答する。



1 第1の1(1)

 「O.P.+10メートル」とは,小名浜港工事基準面から福島第一原発の主要原子炉建屋がある敷地までの高さであり,敷地高であるO.P.+10メートルを越える津波が予見対象津波である。
 予見の対象は,福島第一原発の敷地が溢水する現実的危険性のある津波である。そして、津波が到来により現実的危険が生じるには福島第一原発が存する面としての敷地であって,1地点ではない。そのため,「ある地点における〇メートルの津波」という特定ではなく,O.P.+10メートルを越える津波を予見できていれば,敷地が溢水する現実的危険性があり,予見の対象としては十分特定されている。
 また、被告国の指摘する「波高」「浸水高(痕跡高)」又は「遡上高」は,実際に測定された,あるいは到来した津波の高さを表すものである(原告ら第4準備書面12頁 甲B73−8:『津波の基礎知識』(一般財団法人日本気象協会))。
 したがって、予見対象津波を「波高」「浸水高(痕跡高)」又は「遡上高」で測ることは相当ではない。


2 第1の1(2)

 「敷地高O.P.+10メートル」は,福島第一原発の護岸前面の高さを指すものではない。
 なぜならば,敷地が溢水する現実的危険性を有する津波は護岸前面から到来するとは限らず,護岸の周りから津波が回り込んでくることもあり,このように回り込んだ水により敷地が溢水する可能性があるからである。

3 第2の1(1)

 原告らが主張する予見対象津波の予見可能時期は、「平成14年頃又は平成20年3月のいずれかのみ」ではない。原告らが主張する予見時期は、早ければ平成14年頃、遅くとも平成20年3月である。
 なぜなら、津波に関する知見は時間の経過とともに集積されているからである。

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4 第2の1(2)

 すでに、原告が津波に関する書面で主張した事実のうち予見可能性に関するすべての事情が被告国の津波予見可能性を基礎付ける事実である。


5 第2の1(3)

 第2の1(1)で述べたとおり、平成20年3月ころまでに現れた事情すべてが、被告国も予見可能性を基礎付ける事実である。
 また、平成20年3月以降に現れた事情であっても、これより早い時期に適切な調査義務を果たしていれば知り得た事実に関しては、予見可能性を基礎付ける根拠事実であることを念の為に付記する。

以上

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