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★ 原告ら準備書面(13) ―津波について― 
 第6 被告国の主張について 
平成27年5月12日

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第6 被告国の主張について

 被告国は、被告東電による長期評価に基づく試算が被告国に報告されたのは本件地震発生の4日前で、同試算を根拠とする規制権限行使によって福島第一原発事故の発生を回避することは不可能などと責任逃れの主張をしている。
 しかし、被告国は、被告東電と同じ極めて高い水準の注意義務を負うのであって、被告東電が長期評価の公表後もそれに基づく試算を行わないのであれば、試算するように働きかけるべきであったし、働きかけることができた。それにも関わらず、被告東電の試算が遅れたから事故発生を回避できなかったという被告国の主張は、被告国が、原子力発電所の安全確保について、被告東電に対し規制権限を行使できる唯一の立場であることに基づく責務を果たさず、万が一にも過酷事故を起こすことのないよう、安全側の発想に立って真摯に対応をしてこなかったことを明らかにするものに他ならない。
 さらに、被告東電が試算せず福島第一原子力発電所の適合性の判断が出来ない場合には、被告国は、JNESなど専門機関に試算させることは容易に可能だったのであり、行うべきであった。
 なお、既に原告準備書面(4)で述べたとおり、被告国は、被告東電から、貞観津波(地震)の断層モデルを基に津波評価技術を使用して行った福島第一原発の波高試算の報告を受け、福島第一原発プラントの津波溢水に対する安全裕度が極めて小さいことを認識していたのであって、かかる点からも、被告国の主張は認められない。

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