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★ 「原告と共に」No.24 2018年6月発行 

● コンテンツ
(全6ページ) 「原告と共に」No.24
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● 全員揃って控訴審へ!
 全面解決目指し政府交渉も!

 3月15日に京都訴訟判決、翌16日に東京訴訟判決があり、共に国の責任を明確に認めました。こうした判決を受けて、3月27日に衆議院第一議員会館で「被害の早期全面解決を求めて原発賠償判決3・27院内集会」 (主催:原発被害者訴訟原告団全国連絡会)が開催され、京都からも原告4名、弁護士2名、事務局スタッフ3名で参加しました。
 当時、「もりかけ」問題追及で忙しい中を秘書の参加を含め15名を超える国会議員の参加・エールがありました。京都原告団も、原告が一丸となって闘っていく決意を述べました。田辺弁護士は京都判決の要旨を報告しました。
 午後からは要望書を提出しに経産省に行きましたが、経産省は扉を閉め、要望書の受け取りすら拒否したため、門前での抗議行動となりました。
 翌28日、請求額の満額が認められた2人(控訴できない)以外の全員が控訴しました。2人についても被告側(国・東電)が控訴したので、57世帯174名全員が控訴審に進むことになりました。
 4月29日にはキャンパスプラザ京都で、京都訴訟判決報告集会&第6回近畿訴訟団交流会を開催し、前者は約100名の、後者は約90名の参加がありました(前者の中身は2~3面に掲載)。
 5月6日には弁護士会館で原告を対象に原告団総会&判決説明会を開催しました。今後大阪高裁での控訴審と並行して、東京での政府交渉が設定されていくことを踏まえて、共同代表を1人増やして3人にすることを決め、新しい共同代表には堀江みゆきさんを選出しました。また、運営委員会を定期的に開き、原告同士のつながりを深める企画などを考えていくことになりました(田辺弁護士の話を4~5面に掲載)。
 12日には福島市で、福島県近辺に在住する原告を対象に判決説明会を開催しました。
 いつから始まるか未定ですが、大阪高裁での控訴審のご支援もよろしくお願いします。

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● 原告団共同代表に就任した堀江みゆきさんからの挨拶

 5月6日の原告団総会において、原告団共同代表に選出されました堀江みゆきです。
 私は、福島市から京都へ来て間もなく丸7年になりますが、この裁判に関わってきた年数がその半分以上を占めています。提訴からの4年半、本当に多くの方に支えられて、ここまでがんばってくることができたと思っております。改めて心から感謝申し上げます。
 3月15日の判決では、国・東電に責任があること、自主避難の合理性が認められました。しかし、全員の避難の相当性が認められたわけではなく、賠償額も低く、満足のいくものではありませんでした。控訴審に向けて、私たちの主張を確固たるものとしていかなければならないと思っています。
 今後は、各訴訟団の方と連携していくとともに、国や東電の交渉にもしっかり取り組んでいきたいと思っております。萩原・福島両共同代表と協力しながらがんばりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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● 控訴審訴訟活動と運動について (一部のみ掲載)
  ―田辺保雄・弁護団事務局長―

 5月6日、弁護士会館で原告団総会&判決説明会が行なわれ、そこで田辺弁護士が「控訴審訴訟活動と運動について」と題して話をされました。その話を文章に起こしました。

◎京都訴訟の現状

 請求が満額認められた2人を除いて原告全員が控訴した。国・東電も控訴したので、結局は57世帯174名全員が控訴審に入っていくことになる。
 裁判記録はまだ京都地裁にあり、大阪高裁に送付されるまでにあと1か月ぐらいはかかるのではないか。
 控訴理由書の提出期限は本来、5月17日。提訴理由書は不服とするところを指摘するもので、新しい主張はまた別。ただ、個人の損害についてはそれぞれ違うので期限には間に合わないが、理由を付けて上申すれば提出期限は延長される。

◎先行訴訟の状況

 群馬訴訟は昨年3月に判決が出て、この3月8日に控訴審第1回期日とほぼ1年かかった。これは控訴委任状を集めるのに時間がかかったそうで、その間待ってもらっていたとのこと。控訴手続きに入ったあとはスピーディで、次回は6月19日、10月2日には地震学者の今村文彦・東北大学教授を証人に呼ぶことが決まっている。
 今村という人は、東電にバックチェックする際に長期評価を考慮するように進言した人だが、この人が国・東電側の証人になった。恐らく、長期評価を考慮すべきとは言ったが、そんなに根拠があったわけではないということを証言させるつもりなのだろう。
 これまで国は、長期評価に信用性はないと言ってきたが、方針をがらっと変えてきた。
 第1回口頭弁論の中で、長期評価を無視したわけではない、「確率論的安全性評価」の対象として評価をしてきたと言いだした。ただ、この時点では「確率的安全性評価」を現実にできるツールはなかったと言われており、何もしないでおこうと決めたのと同じ意味になる。そんなことをしてどうなるのかと我々は思ってしまうが、国はこれまでの訴訟活動では勝てないと身に染みて感じたようで、方針転換を図っている。
 東京高裁は和解を提案したいという意欲を持っているそうだ。
 千葉も同じ東京高裁で第1回期日は7月6日。千葉地裁では結果回避可能性で負けているので、後藤政志さん(原子炉設計技術者)・筒井哲郎さん(プラント設計技術者)の連名意見書、証人申請も準備している。
 千葉地裁の第2陣訴訟が8月30日結審ということで、早ければ12月か1月に判決が出る。かながわ訴訟も7月に結審になる。また、愛媛訴訟でも裁判所が来年3月までに判決を出したい意向で、来年1~3月に次の波が来るという状況だ。
 生業訴訟は仙台高裁に控訴理由書を提出したが、原告数が数千大規模なので、控訴委任状が集まっておらず、まだ動いていない。
 ともかく国は弁論に力を入れ、必死になってやる姿勢に変わっている。原告団としては、これで国の責任は確定したと慢心してはいけない。ここで一つでも崩れると総崩れになってしまう。

◎京都判決について

 あくまで一部勝訴で、全面勝訴ではない。区域外の範囲も我々が思うような形では広げてはくれなかった。
 裁判官としての枠組みからなかなか抜け出せない中で、なんとか救いたいという気持ちで工夫してくれたと感じるが、やはり裁判所的な枠組みに縛られている。
 避難の相当性を認める時には、裁判所は、身体に対する放射線の具体的被害が立証されていないとだめだと思っている。LNTについては科学的に立証されていないとして、否定している。ICRPも科学的にはLNTが一番もっともらしいと言っているが、一方では単なる仮説だと言っている。確かに「科学」として実証されてはいないが、ICRPでさえ、科学的にはLNT仮説によって対策を考えるべきとしている。裁判所は、そこを乗り越えることができていない。科学論争は決着まで10年、20年、場合によっては30年ぐらいかかる。LNT仮説が科学的に真実かどうかを立証対象にしてしまうと、この裁判で我々は立証することはできないと思う。(続きはpdfで)

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