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★ 「原告と共に」No.13 2016年5月発行 

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● 第14回口頭弁論の傍聴に来てください!

 3月25日の第13回口頭弁論は、120名の参加で、前回に引き続き抽選になりました。この日、原告は事前に弁護士会館に集まり、その日提出する準備書面の説明や原告団としての意思統一をしました。

 法廷では、高木野衣弁護士が準備書面(28)と(33)について、また森田基彦弁護士が準備書面(30)、(31)についてプレゼンしました。

 期日報告集会では、初めての試みでしたが、原告と支援者の交流企画として原告団共同代表の萩原さんが娘さんと考えたゲームを行い、結構盛り上がりました。

 4月10日には、「これから私たちの裁判はどうなるのか」と題して原告団学習会(+総会、交流会)を開催し、この裁判に勝利するのに何が必要か、秋以降に始まる原告本人尋問とはどんなものか、などを学習しました。

 4月24日には、支援する会の第2回総会と 「原発事故による低線量被ばくの健康被害を考えるいのちと避難生活をまもる第5回京都公聴会」(うつくしま☆ふくしまin京都との共催)を開催しました。

 支援する会は結成当初、あえて代表を空席とし、事務局だけで出発しましたが、来春には判決が出るという局面の中で、勝ちに行くために石田紀郎さん(市民環境研)・平信行さん(被曝2世・3世の会)・橋本宏一さん(国民救援会)に共同代表になって頂くことになりました。会員拡大や傍聴席満杯に向け、いっそうのご協力をお願いします。

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● 第5回京都公聴会聞く

 4月24日、うつくしま☆ふくしまin京都と共催で「原発事故による低線量被ばくの健康被害を考える いのちと避難生活をまもる第5回京都公聴会」をハートピア京都で開催しました。約80名の参加があり、3名の方が新規入会を申し込まれました。

  ◎井戸弁護士の話

 最初に、井戸謙一弁護士が「司法から福島原発事故・低線量被ばくを考える」と題して講演。

 年20mSv基準が適用される福島の住民は、年1mSvを超える線量が確認された公園への立ち入りが禁止される福島以外の国民とは違う法律を適用されている。福島県内では放射線管理区域(平米当たり4万ベクレル)以上の土壌汚染があちこちにある。

 2月18日の京都個別避難者訴訟判決は、賠償額や就労不能損害の期間では成果もあるが、自主避難の合理性を2012年8月までしか認めなかった。その理由として、政府のワーキンググループ(WG)報告書が年20mSv以下では健康被害のリスクがないとしたことを挙げる。

 私は、“放射線被ばくのリスクはわからないから、不安を抱くことは合理的だ”と裁判所に認識させればいいと考えていた。

 WG報告書は、国際的に「累積100mSv以下の被ばく線量」について言われていることを 「年に100mSv以下」にすり替えている。国は年20mSvを避難基準にしているが、年20mSvの環境で5年余り生活すれば累積100mSvに達する。

 最後に井戸弁護士は、国は情報を隠ぺいし、被害者に声を上げさせないなど、過去の公害事件で繰り返されたのと同じことが展開されている。被害者が声を上げることができる環境をどう作っていくのかが課題だと強調されました。

  ◎避難者の方の話

 次に、関東のホットスポット、千葉県松戸市から大阪市に避難しているTさんと福島県浪江町から兵庫県に避難しているKさん(お二人とも関西訴訟原告)に話をして頂きました。

 Tさんは、事故直後から子どもたちが鼻血を出したり疲れ易くなる中で、避難することを決め、はじめはいやがっていた子どもたちを説得したこと、マンションの花壇の土を測ったところ84万ベクレル/平方mあったことなどを話し、子どもたち(姉と弟)の書いた手記を紹介されました。

 子どもたちは大阪に引っ越した直後は仲間はずれにされたり、いじめに遭い、お母さんを恨んだこともあったが、今では「楽しく生活できるのはお母さんのお蔭です」(姉)、「まだ汚染地域に住んでいる友だちのことが心配です。避難して欲しい」(弟)と綴っていました。

 Tさんは最後に、甲状腺のリスクは同じなのに、首都圏の子どもたちには何の施策もないとして、希望するすべての人に放射能健診を求める署名への協力を呼びかけられました。

 つい最近甲状腺がんの手術をされたKさんは、全町避難となった浪江町から郡山市へ避難しスクリーニング検査を受けた際に野外で3時間並び、降ってきた雨に濡れた。10万cpmのガイガーカウンターが振り切れた。

 仮設住宅にいる間、口内炎みたいになり、それは栄養状態が悪いからだと思っていたが、阪神大震災の時の仮設では口内炎は出なかったと聞き、やはり放射線の影響ではないかと思っている。

 昨年2月に福島でのう胞が見つかったが、「大人の女性はみんな持っているから心配ない」と言われた。昨年5月に仮設を出て関西へ来て、健診を受ける機会があり、そこで甲状腺がんが見つかり手術を受けた。

 最後にKさんは、健康被害はいま始まったばかり。これから始まる恐ろしさを見つめ続けて下さい、と訴えられました。

  ◎飛田晋秀さんの話

 最後は、三春町の写真家で、最近発足した「3・11甲状腺がん家族の会」の副代表に就任された飛田晋秀さんが講演。

 たまたま知り合った人が甲状腺がんの手術を2回した娘さんのお父さんだった。いろいろ話を聞き、ほかの患者の家族の方と交流できないかと考え始めていたところ、あるTV局のディレクターの紹介で別の甲状腺がん患者の家族に会うことができ、家族同士の出会いの場を持った。それまで家族だけで悩み、孤立していた参加者からは「今日は来て良かった」という感想が聞けた。

 3月12日の家族の会発足の際は5組だったが、いまは10組に増えた。患者は福島にとどまらないので、会の名前に「福島」は付けなかった。大人の甲状腺がんも増えているので、子どもだけでなく、大人の患者も結集させていきたい。

 いま福島では心筋梗塞をはじめいろいろな病気が蔓延している。救急搬送される人も増えている。よく「風評だ」 と言われるが、私は「実害だ」と言っている。

 最後に飛田さんは、カメラを持てるうちは被災者や患者さんと触れ合いながら、撮ったデータを次の世代に残していきたい、と述べられました。

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