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★ 「原告と共に」No.12 2016年3月発行 

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● 第13回口頭弁論の傍聴に来てください!

 2月3日の第12回口頭弁論は、前回(11月27日)とは打って変わり、100名を超える方の参加で傍聴席は満杯になり、抽選に漏れた20名ほどの方は弁護士会館へ行っていただくことになりました。

 法廷では、原告側から準備書面(25)―SA(シビアアクシデント)対策の規制権限不行使の違法について―と準備書面(26)―結果回避措置について―を提出し、後者について森田基彦弁護士がプレゼンを行ないました。

 進行協議の場では、浅見裁判長から「夏までに総論的な主張は出し切ってもらい、原告本人と専門家の証人調べを秋以降に実施したい」との話があり、5月以降の3回は月1回ペースの日程となりました。年内結審・来春判決という流れが濃厚になってきました。

 3月2日には、東京で「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」が結成され、これには21の
原告団(9645名)が参加することになりました。共同代表の一人に近畿3訴訟団から関西訴訟原告団の森松代表が就任することになりました。

 法廷での本人証言は、証言台に立つ原告にとって大きなプレッシャーです。原告席の仲間と傍聴席を埋め尽くす支援者の応援が、心の支えとなります。

 月1回の傍聴は応援する者にとっても厳しい日程ですが、原告を励まし、この裁判に勝利するために皆さんの力を貸してください。

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● (期日報告会〉年内結審 来春判決の日程が濃厚に!

◆期日報告会では、福島原発かながわ訴訟の村田弘原告団長をゲストとしてお招きし、関東圏での裁判の状況やかながわ原告団の取り組み等について話していただきました。

  ◇村田原告団長の話

 かながわ訴訟は、裁判長が 「秋ぐらいには見極めたい」と述べており、もうすぐ原告の本人尋問、専門家の証人尋問に入る。京都とほぼ同じ進行状況。全国で28ぐらいの集団訴訟が提起されており、一番進んでいるのは群馬、千葉、福島の生業(なりわい)訴訟。

原告が4千人規模の生業訴訟では、裁判長に現地調査をすることを認めさせた。群馬訴訟では、女性の裁判長が被害状況を重視するということで、42世帯の代表者の本人尋問が終わった。千葉訴訟では先に本人尋問が終わり、専門家の証人尋問も終わった。裁判長が 「責任論は争点じゃないですからね」と言ったので「これはやばいんじゃないか」と思っていたら、その裁判長が異動になった。弁護団は低線量被曝の問題や「現地調査をやれ」と申し入れて巻き返しを図っている。関東圏では、今年の暮れから来春にかけて順次判決が出るのではないか。

 肝心なことは裁判の判決だけでは解決しない。いま被害者が横につながって頑張ろうという動きがあって、昨年5月に原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)ができた。これには損害賠償訴訟だけでなく、刑事告訴をした告訴団やADRを提起した団体も入っている。3月2日に日比谷野音で全国集会を開く。それまでに統一要求を作ろうということになっている。2月13日には、原発被害者訴訟原告団全国連絡会が結成される。さらに去年の暮れに避難者個人のつながりを作ろうということで、「避難の権利」を求める全国避難者の会もできた。子どもを守ろうとするお母さんの力を感じる。一緒に頑張っていこう。

 (「本人尋問で、被告側の反対尋問はどんなことを聞いてくるのか」という質問に答えて)
 千葉と群馬を聞きに行ったが、被告側には正面から反論する材料がない。主に聞いてくるのは、(1)原告の陳述書に書かれた事実関係が違っているんではないかということ、(2)「賠償はちゃんと受け取られていますよね」との確認、(3)陳述者の避難元のデータを詳細に調べてきて、「あなたの地元は復興していますが、知ってますか?」と質問する、という3点ぐらい。だから反対尋問を恐れる必要がまったくない。自分の今までの経過や被害の重さをきちっと述べる、ということに尽きる。

◆進行協議の内容について、弁護団の田辺事務局長から報告がありました。

  ◇田辺事務局長の話

 浅見裁判長から、夏までに総論的な主張は出し切ってもらって、原告本人の証言と専門家の証人調べを秋以降に実施したいという話があった。その心は年内に結審して、来春に判決を出したいということだろうと思う。審議経過(工程表)をきちっと作って、それに遅れないようにしますと宣言された。

 原告さんの証拠調べをどうするかが議論になった。58世帯の代表者全員に聞くとなると1年以上かかってしまう。世帯をいくつかの類型に分け、類型ごとに代表者を選び証言してもらうという形になるのではないか。

 専門家証言は各地の裁判で地震学者、避難に関して社会学者や心理学者の証言調書がある。低線量被曝に関しては専門家証人が出されていない。今考えているのは、医学者で高木学校の崎山比早子さんと今日の準備書面のもとになった元東芝技術者の吉岡律夫さんの二人。

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● 原発被害者訴訟原告団全国連絡会が緒成される!

 2月13日、全国各地で原発賠償訴訟を闘っている原告団の全国連絡会が結成され、京都からは原告の高木久美子さん、弁護団の田辺保雄弁護士と鈴木順子弁護士、事務局の奥森祥陽さんが参加しました。

  原告の団結なくして裁判には勝てない 高木久美子さん

 2月13日(土)に福島敦子共同代表の代役で、京都原告団も加入を決めた原発被害者訴訟原告団全国連絡会(略称・全国連)の結集集会に出席してきました。

 集会では、全国の21の原告団(原告9645名)が連絡会に結集し、本日の参加者は180名と報告がありました。

 被害者の訴えの中では、結成40年の歴史を持つ全国公害被害者総行動実行委員会事務局長の中山氏が「40年の歴史で一番大切にしてきた事は互いの違いを強調するのではなく一致点を大切に拡大していく。思想で一致するのではなく被害と要求で団結する事だとこの事を肝に命じてきた」と言っていたのが印象的でした。

 いわき市民訴訟原告団長の伊藤氏も、「避難を命じられた人もそうでない人も、避難した人もしなかった人も、故郷に戻った人も戻らない人も相互理解に努め手を取り合って、再び事故はならぬと言う声を届け多くの国民の理解と支援の輪を広げよう。いま、私達は団結した力が必要。その一員として私どもも力を尽くしていく」と表明されました。

 この集会に参加して感じたことは、「原告の団結なくして、この裁判を勝ち抜く事はできない」ということ。各原告の発言を聞いてさらに強く思いました。他の原告団のやる気がとても伝わりました。原告が団結し、この裁判を広く国民へ知らせる行動が大切。

 京都原告団には、それぞれの原告が自分の歩幅で1歩前へ進む事を伝えたいと思いました。そして、互いの腕を組み一歩前に踏み出す事で、新しい景色を原告の皆さんで見たいと思いました。

  ひだんれん政府交渉&全国集会に780人 うのさえこさん

 3月2日、ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)の初めての政府交渉と全国集会が衆議院議員会館と日比谷野外音楽堂であり、京都原告団として参加してきました。

 政府交渉は、「子ども・被災者支援議員連盟」の総会内で行われ、政府側は、復興庁、環境省、内閣府などから約30名が出席、私たちひだんれんからは13団体の代表ら約50名が参加、大規模な交渉となりました。

 ひだんれんは、内閣総理大臣宛の「住宅、区域指定・賠償、子ども・被災者支援に関する緊急要請書」を提出。
  1. 住宅無償提供に関して、(1)「2017年3月打ち切りの方針を撤回し、被害者への完全賠償が完了するか、または新たな法的保障措置が発効するまで従来通り無償提供を継続するよう、福島県に働きかけること、(2)生活条件の変化に応じた転居など、住み替えを柔軟に認めること、(3)放射能汚染地域からの新たな避難者への無償提供を再開すること。
  2. 避難指示区域の解除・賠償打ち切りに関して(1)「2017年3月までの避難指示解除及び1年後の賠償打ち切り」の方針を撤回すること、(2)年間追加被ばく線量が1ミリSvを下回ったことが科学的に実証され、原発サイトにおける事故再発の危険性が完全に除去されるまでは現行の避難指示を維持し、帰還を強要しないこと。
  3. 「原発事故子ども・被災者支援法」に関して、(1)「支援法・基本方針改定」を撤回すること、(2)支援法に定める避難・帰還・居住の選択の自由を認め、「被ばくを避けて生きる権利」を保障する施策を早急に確立すること。
 官僚たちは、避難者の数すら把握せず、事故前の福島県の土壌のセシウムの量も知らないまま、「復興」「帰還」「除染の完了」「健康不安の軽減」と、現実とはかけ離れたストーリーを語るのみ。菅野みずえさん(関西訴訟原告)の言葉が突き刺さる。「暮らしていた仮設では大人の甲状腺がんが5人、皮膚がんが2人も出た。まず、福島の事故で、国民にどのような影響が出ているのか調べるべきではないですか?なぜ福島県民を見殺しにする? なぜ、日本中の子どもを調べない? もっと、国民に目を向けてください」。

 午後は、青空の下、日比谷野外音楽堂に、約780人が集まり「謝れ! 償え!補償せよ!」の声が響き渡りました。5年。まだ5年。私たちはつながって、闘い続けましょう。

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