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★ 「原告と共に」No.7 2015年5月発行 

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● 第8回口頭弁論の傍聴に来てください!

 3月3日の7回弁論期日は、残念ながら法廷を満杯にすることができませんでした。

 原告側は、シビアアクシデント(SA)対策について補足しました。被告らは、国や電気事業者でつくる溢水勉強会で設計基準を超える事象が起こりうることを前提とした議論が行われるなど、SA対策の必要性を認識していた。福島第1原発の地盤を超える津波が来ることは警告されており、被告らがその対策を行なっておれば、現在のような事態に至る前に食い止めることができた、と主張しました。

 3月22日には「避難・移住者がつくる第3回京都公聴会」を開催されました。政府・福島県が汚染地域への帰還政策を進める中で、避難生活の基盤である避難用住宅の長期延長をかちとる闘いが求められています。

 4月12日には、原告団・弁護団の学習交流会が開催され、延べは人の原告(大人)、11人の弁護士が参加。裁判の論点や今後の展開について意見交換し、交流を深めました。

 4月14日には、福井地裁(樋口裁判長)がいまの新規制基準に基づく再稼働は認められないとして、高浜原発の運転差し止めを命じる仮処分決定を出しました。私たちの原発賠償訴訟もこれからヤマ場を迎えます。いっそうの支援をお願いします。

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● 【原告団総会開「規約と運営委員を決定】

 3月3日の第7回口頭弁論の期日報告会終了後、同じ場所で原告団総会が開かれました。

 総会では、原告団規約が全会一致で採択されました。1月13日の第6回口頭弁論の期日報告会で論議になった原告団の目的(第2条)については、「1 国に、法定被曝限度(年間1ミリシーベルト)を順守させ、少なくともその法定被曝限度を超える放射能汚染地域の住民について「避難の権利」(余分な被曝を避ける権利)を認めさせる。2 原発事故を引き起こした東京電力と国の加害責任を明らかにする。3 原発事故によって元の生活を奪われたことに伴う損害を東京電力と国に賠償させる。4 子どもはもちろん、原発事故被災者全員に対する放射能健診、医療保障、住宅提供、雇用対策などの恒久対策を国に実施させる。」と整理されました。

 日常的な意思決定機関として、運営委員会の設置が決まり、地域支部から1〜2名の運営委員が選出されました。なかなか日常的に集まるのは難しいので、必要があれば期日報告会のあとに開くことになりそうです。

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● 報告 避難移住者がつくる第3回京都公聴会

 3月22日(日)に「避難・移住者がつくる第3回京都公聴会」(支援する会も共催)が、きらっ都プラザで開催されました。

 『原発事故から4年 私たちを追い出さないで!今すぐ避難住宅の長期延長を!』というサブタイトルが示すとおり、原発避難者にとって最も差し迫っている「住宅確保」のテーマに絞った公聴会でした。避難者・移住者の方と支援者、約60名がつどいました。

 最初に兵庫訴訟の津久井弁護士から「原発避難者の住まいの課題」と題した講演がありました。避難者の意向調査では、福島をはじめ、どこでも「住まい」が最大の不安要因であること。

 「1年先にどこに住むのか分からないようでは、生活の予定が立たない、仕事を決められない」こと。原発事故子ども被災者支援法では被災者の意見を反映するとなっているのに、全く実行されていないことなどの問題が示されました。その解決策として、限界のある「災害救助法」ではなく、一人ひとりが大事にされる『災害復興法』をつくることが提案されました。

 次に東京から家族みんなで参加された鴨下さん(避難生活をまもる会代表・東京訴訟原告団長)から、「原発事故による汚染、人権侵害と住宅支援(長期無償での避難用住宅提供を求める取り組み)」について報告していただきました。いわき市の自宅や勤務先を鴨下さんが調査された貴重な映像も見せていただき、メーターの針が放射能で振り切れるリアルさに、深刻な汚染実態が感じられました。

 「放射能汚染から避難することは、安全に暮らすために当然必要なことであり、無償避難住宅の長期延長が必要である」ことがよくわかりました。そして小学生の息子さんも発言され、心からの訴えに涙する参加者も多くいました。

 休憩をはさみ、うつくしま☆ふくしまin京都の奥森事務局長から『避難用住宅に関する要望書(案)』の提案がありました。新たに避難を決意する人への住宅提供の再開、住宅を無償で長期提供すること、生活状況に応じた住み替え、港がい者への当然の配慮、避難先自治体に災害復興住宅をつくること、これらの住宅支援を国の責任で行うことなどを求めるものです。

 参加された避難者からは、次々と切実な訴えが出されました。

 ご自身が障がいをもたれ、車椅子で生活されている鈴木さんは、「住宅提供打ち切り期限までに障がい者に対応した住宅を見つけられなかった。自費で避難せざるをえなかった。障がい者の権利条約にある『合理的配慮』に基づいて、住宅のことを考えてほしい」と強く訴えられました。

 避難者65世帯の自治会長をされている加藤さんは、避難生活の大変さの中で心の通うコミュニティをつくろうと努力をされてきたことや、自分たちの体験を訴え続けていきたいという思いを語られました。

 向島に避難されている高木さんは、娘の高校合格を喜びながらも、住宅の無償提供がなくなったらどうなるのか、「1年ごとの延長は、余命宣告を受け続けているような思い」がすると切々と語られました。

 夜勤明けで参加された堀江さんは、「福島市の自宅は放射線管理区域と同じ。帰れない。落ち着いて暮らしたい。大家さんの好意で民間借上げ住宅に暮らしているけど、経済的にも精神的にもいっぱいいっぱい。住宅と仕事はセットでの支援が必要と思う」と訴えられました。

 他にも、参加された避難者の方から、「未来が見えないことは、心が崩壊してしまう。空いている住宅に避難者を入れてほしい」「住宅を切られるとどうしていいかわからない。福島の状況をわかってほしい」などの声がありました。

 放射能健康診断100万人署名運動推進京都実行委員会からは、「甲状腺がん多発の中で、国が命を守らない。でも、福島県の中で医療費負担を国に求める動きなど、声を上げれば変化が生まれる」とアピールがありました。

 最後に、奥森さんの方から「論議の中で出た意見を入れた要求書をブログでアップします」という提案があり、全体で確認しました。
 (事務局 佐藤和利)

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