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★ 「原告と共に」No.4 2014年10月発行 

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● 「近畿訴訟団」交流会開催

 昨年9月17日に第1次提訴を行なった原発賠償京都訴訟も、早いもので11月14日で第5回めの口頭弁論期日を迎えます。

 9月12月に行なわれた第4回口頭弁論は、早くから傍聴整理券を求める列ができ、第1回以来の抽選を実施させることができ、裁判所にこの裁判が社会的に注目されていることを印象づけることができました。みなさまのご支援とご協力に感謝申し上げます。

 法廷では、まず被害の実態について、下田香織弁護士がパワーポイントを使って説明しました。これは、原告の方に聞き取りしたものをまとめたもので、被害を1.放射能による健康被害の恐怖、生活の破壊(11例)、2.避難行為に伴う被害(8例)、3.避難生活に伴う被害(12例)に分類して例示したものです。

 繻エ弁護士からは、津波の予見可能性についての説明がありました。要約すると、東電は、平成20年(2008年)5月に福島第一原発の敷地にO.P.(基準となる海抜ゼロ地点)+15・7mの浸水高の 津波が生じるとの試算を行なった。これは福島第一原発の敷地高(O.P.+10m)を超える津波であり、非常用海水ポンプの機能喪失により炉心損傷が起こる危険があることを意味した。東電の評価は「津波評価技術」と「長期評価」が出そろった平成14年時点でも可能であり、東電と国は平成14年時点で福島第一原発事故の原因となり得る津波の発生を予見できたと考えられる、というものでした。

 9月18日には、遅れていた関西(大阪)訴訟が始まり、いよいよ関西3府県で訴訟が動き出しました。それを受けて、10月12日にキャンパスプラザで原発賠償近畿訴訟団(京都・大阪・兵庫の原告団・弁護団・支援者)の第1回交流会が開催されました。初めての取り組みでしたが、会食しながら交流を深めることができました。

 11月14日の第5回弁論から時間帯が変わります。これまでは14時開廷でしたが、今後は11時開廷となります。傍聴整理券の交付も10時からになります。間違えずに傍聴に参加してください。

 11月11日には神戸地裁で兵庫訴訟の第5回弁論(14時開廷)が、そして12月4日には大阪地裁で関西訴訟の第2回弁論(14時開廷)があります。可能な方は、神戸・大阪地裁にもぜひ傍聴に行ってください。

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● 原発賠償近畿訴訟団第1回交流会開催
 〜大阪・兵庫・京都の原告、弁護団・支援者が交流深める〜

 10月12日(日)に原発賠償近畿訴訟団(大阪、ひょうご、京都)の第1回交流会がキャンパスプラザ京都で開催されました。原告家族・弁護士・支援者70名余りがつどい、訴訟に勝つための連帯と交流を深めました。

 最初に京都原告団を支援する会・奥森事務局長から「2013年9月に大阪(関西訴訟)、京都、神戸(ひょうご訴訟)の地方裁判所に集団提訴してから1年。三つの訴訟団のよりいっそうの連携が求められています。情報交換のためのメーリングリストも立ち上げました。近畿から西日本そして全国へとネットワーク拡大を展望し、裁判の勝利にむけた大きなうねりを作り出していきましょう」と経過報告。

 次にひょうご訴訟の津久井弁護士より「原発避難の住まいの課題」について講演。「1年先にどこに住むのか分からないようでは、生活の再建などありえない!住まいは恩恵ではなく権利だ。あきらめないことが一番大事。他人事のような行政を動かそう。日本弁護士連合会の意見書、日本学術会議の提言も出ている。長期の安定した住まいを実現しよう」と、非常にわかりやすく説明していただきました。

 そして午前の部のしめくくりに三府県の訴訟団が登場。トップバッターの京都は、最初に原告団共同代表の福島さんが「京都訴訟原告・支援の会の歩み」について報告。「傍聴席を満杯にしないとだめだ!と気合を入れて地域の団体回りをした。本気で訴えれば、行けない人でも誰かに伝えるとか、動いてもらえる。そして原告の支部会をつくり、原告の思いを拾い出した。その結果、開廷時間を午前中に変更してもらうことなどを実現させた」とパワーポイントで説明。登壇した京都の原告からは「子供を被曝させたと後悔した。二重生活の怒りをこめて、集団訴訟を勝ちたい」「障がい者の避難の困難さの問題を訴えたい」などの発言が続きました。京都弁護団の田辺事務局長は「避難という選択は正しかったと認めさせたいという原告の思いに心動かされた」と決意を新たにしていました。

 次にひょうご訴訟団がオールメンバーで登壇。ぽかぽかサポートチームの松本さんのあいさつを受け、原告と弁護団と支援者が自己紹介。「理不尽なままにしておきたくない」(原告)「兵庫の裁判官の訴訟指揮は問題だ。関西一体でがんばり、全国で勝ち上がることをめざす」(弁護団)など。特に大学3年生の原告の「学んでがんばりたい」という決意表明には万雷の拍手がありました。

 最後を飾ったのは最大の原告を抱える関西訴訟団。森松原告団長より「9月18日第一回期日の熱気ある応援ありがとうございました。」とお礼のあいさつ。そして原告団から、幹事会で決めた自分の役割(ニュース発行、メーリングリスト、保育など)の紹介劇があり、弁護団と支援者の発言が続きました。関西サポーターズの強力なバックアップなど、長期に裁判に取り組める体制がつくられてきていることが感じられました。

 午後の部は雰囲気が一転。料理と飲み物が並び、活気あるレセプションになりました。この料理は京都の避難者の方が多く働く店「キッチンNagomi」さんで午前中つくったものや、支援する会メンバーが心をこめて用意したものです。日本酒も選りすぐりの品で大好評でした。

 保育スタッフも奮闘してくれました。母子の方が多い避難者にとって、心温まる場になったと感想が寄せられました。

 発言者も飲み物効果か、口も滑らかになり、日ごろはお堅い印象の弁護士さんも意外な素顔が見られ、笑いを誘う発言もあり、楽しい雰囲気になりました。

 そして、この交流会を激励するために来てくださった大飯原発差止・京都訴訟の吉田明生さん、福島原発告訴団関西支部&市民環境研の石田紀郎さん、国民救援会の橋本宏一さん、被爆2世3世の会の平信行さんから励ましの言葉をいただきました。「兄弟訴訟として、いっしょに闘いましょう」(吉田さん)「自宅の土の放射能を測りますので裁判に役立ててください」(石田さん)、「法廷の外で訴え、世論で包囲することが大事」(橋本さん)、「賠償訴訟も原爆症認定訴訟も問われていることは同じ。励まし合ってお互いの裁判勝利をめざしていきましょう」(平さん)というメッセージに勇気付けられました。

 そして締めくくりは京都恒例の「大じゃんけん大会」で盛り上がりました。ただ、賞品としてせっかく京都のお土産を用意したのに、4人の勝者のうち3人が京都からの参加者という“申し訳ない”ような結果になりました。

 京都原告団共同代表萩原さんのまとめとお礼の挨拶を受け、来年春には大阪で二回目の近畿交流会を催すことを確認して閉会しました。(事務局 佐藤和利)

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● 支援する会 会員のみなさまへ

原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会
 事務局長◇奥森祥陽

昨年の10月20日に京都原告団を支援する会を結成して、早1年が経ちます。支援する会はこの1年、次の3つの柱で活動を展開してきました。

 まず第1は、京都地裁の大法廷を満杯にする支援体制を作り出すことです。傍聴にきてもらうためには、まず、この裁判について多くの人に知っていただく必要があります。原告のお話会を開催したり、京都府内の労働組合や市民団体への要請を繰り返し行ってきました。また、裁判ごとに「大法廷満杯ニュース」の配信を行ってきました。おかげさまで、第2回期日を除いて、大法廷を満杯にすることができました。

 今後も引き続き、大法廷が満杯になる傍聴態勢を作っていくためにがんばっていきます。

 第2は、放射線による健康被害に対する取り組みです。福島県の県民健康調査によると、小児甲状腺がんが103例とアウトブレイク(多発)しています。健康被害の問題は、損害賠償裁判だけでは解決しません。原発事故被災者に対する恒久対策を早期に実現させる必要があります。そのために、4月には「水俣病・原爆症認定訴訟に学ぶ集い」(講師:尾藤廣喜弁護士)を開催し、8月には原水禁系、原水協系の2つの原水爆禁止世界大会に参加し、広島・長崎の被爆者と交流しました。被爆者援護法制定運動を粘り強く取り組んできた方から、「被ばく者としての自覚を持つこと」「人権の問題としてたたかうこと」「国の内外で原発被害の実態を語り続けること」とのアドバイスを受け、原爆被爆者援護法に準じた「原発被災者援護法」(仮称)を制定させる必要性を確認してきました。引き続き、全力を尽くして取り組んでいきます。

 第3は、原告の活動に対する経済的な支援です。原告自身が支援を広げていく活動を行っていく際にも、交通費などの費用がかかってしまいます。多くの原告は避難元と避難先の二重生活を余儀なくされており、裁判を続けていくことも大変な状況です。

 支援する会の財政の大半は、交通補助収入支出など原告の取り組みを支えるために活用されています。今後も、支援する会財政を確立し、原告団への財政支援を続けていきます。

 支援する会も2年目を迎えました。本来は総会を開催し、活動総括・方針、決算・予算案を討議していただくべきなのですが、活動日程の都合上、来春の開催となりそうです。

 今回、会報にて、簡単な活動報告と決算報告をさせていただき、引き続きのご支援をお願いします。

 昨年一年は、大口のカンパがありましたので、なんとか黒字になっていますが、会費収入だけを見ると、収支トントンです。みなさまの会費が会の活動を支えていますので、ぜひ切り替えおよび新規の加入をお願いします。順次、会費の切り替えをお願いしていきますので、よろしくお願いします。

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原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会
  〒612-0066 京都市伏見区桃山羽柴長吉中町55−1 コーポ桃山105号 市民測定所内
   Tel:090-1907-9210(上野)  Fax:0774-21-1798
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