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★ げんぱつばいしょう きょうとそしょう げんこくだより No.4 (2017/3) 

● コンテンツ
全8ページ 原発賠償 京都訴訟 げんこくだより No.4
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● 「本人尋問・専門家証人尋問」で感じたこと・想い

 本人尋問を前に、「これだけは伝えたい!証言として公の場で語り、伝え、残したい!」というものがありました。

 制限時間がないのであれば、思いつくまま思いの丈を伝えたいけれど、制限がある以上、わかりやすい短文の問答を聴いてもらいながら、いかに伝えたいことを伝え切れるか、ということに苦心しながら、担当の先生を始め先生方のお力をお借りしながら練り上げていきました。

 結婚式のケーキ入刀ではないけれど、本人尋問は担当の先生との共同作業だと思います。後悔せぬよう、本気で練り上げる共同作業です。

 例えば・・・私の場合、ある問いかけをされると反射的にどうしても喋りたいことが出て来て暴走してしまったりするので、その辺りのクセを見極めていただきながら、的を外れないように最後まで陳述できるよう質問の仕方を変えていただく、など、何度も打ち合わせを重ねていただくなかで、ようやくスッキリとストレートに伝える問答が完成しました。

 積み上げてきたという安心感から、当日は、全てを出し切るぞ、という心意気で臨むことができました。先生方には本当に感謝致しております。満杯の傍聴席からは熱い声なき声援を感じ、原告席には仲間たちの姿が見える中、ついつい暴走しそうになりつつも(ちょっとしたかも)、なんとか意見陳述を終えることができました。

 でも。本人尋問が終わったからとて、一件落着ではなく。

 「専門家証人尋問」では、しっかりとこの目この耳で、低線量被曝に対する国側専門家証人の陳述を見届けよう、聴き届けようと臨みました。
 どんな表情でいるのか、主尋問・反対尋問の意見陳述時はもちろん、順番待ちで座っている時も見つめていました。印象的だったのは、3番目に陳述した佐々木康人氏(湘南鎌倉総合病院(徳洲会グループ)付属臨床研究センター放射線治療研究センター長、元国際放射線防護委員会ICRP主委員会委員、元アンスケア議長)。

 両日とも、崎山先生の陳述に深々と領くこと多数。「はっ?何に共感してんの? 専門家としての常識には反応してしまうってこと?(私の心の声)」にもかかわらず、陳述の出番が来ると、もっともらしく、「非常事態なのでありますから、公衆の被曝許容量限度は20ミリシーベルトです。1ミリシーベルトは、平常時の許容量ですから当てはまりません」ときた。

 「はーーーー???? 線量が平常時の地域に避難している人を、無理やり線量が非常時数値の地域に戻すってどーいうこと? 安心だから戻れって、非常事態のところ=安心なわけ???」矛盾だらけの非人道的なことを、学歴・経歴の印籠振りかざして言われたって誰が信じるかっ! こんな学者17人に人生預けられるわけがない。

 崎山先生が最終尋問で力を込めて陳述してくださった「アンスケアは、純粋な科学者の団体ではない」という言葉に、胸のすく思いがしました。

 この国の大多数の人たちが放射能汚染・被曝の問題に無関心だという状況の中、京都に避難して来たからこそ出逢った支援者の皆様、弁護団の先生方、原告側専門家証人を引き受けてくださった崎山先生、そして、あの日からずっとともに歩き続けている原告の仲間のみなさんの存在の確かさ、大きさを噛み締めつつ、この国の未来が希望あるものであることを信じて、歩んでいきたいと思います。
今後とも、どうぞ宜しくお願い致します!
 川崎 安弥子(茨城県北茨城市から京都市へ避難)

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● 安全を求める行動が嘲笑ではなく“当然の行為”だと認められるように
  『この裁判に参加した理由について』

 事故から6年がたとうとしている今、政府は安全になったと言う。
 それを証明するかのように低線量被爆は安全だ、放射性物質は食べても大丈夫、問題ない所か健康に良いとすら言われる。
 一方で安全性を否定する避難者達は肩身の狭い思いをする。
 それに対して事故の責任を持つ者達はどうか。
 東電に対して批判する声は聞くが、役人や政治家に対する声は極少なく、今も何の責任追及もされていない。何故であろうか。

 〜安全と主張する理由について〜

 私は経済情勢の安定化を目的としていると考えている。
 当時民主党政権下において日本経済は低迷していたが、その中で大震災と原発事故が起こり更なる打撃を与えた。

 この様な状況において避難指示区域を大規模に広げた場合その地域の産業は壊滅し、取引先企業は資金回収が出来なくなり連鎖倒産という結果になる。この影響は福島県内のみならず、全国規模での失業者数・自殺者数・犯罪件数の増加となり、日本発の世界恐慌に繋がりかねない状況となる。

 対して区域を小さくすれば、その範囲に比例して経済への影響は小さく出来る。
 今、国が安全だと主張するのは安定し始めた経済情勢が再度悪化することを恐れているためであり、政府の根本的な判断基準が放射能汚染レベルによるものではないと考えている。

 〜政府の判断を甘んじて受け入れるべきか〜

 先に述べた事は私見であって証明するためのデータはない。逆に安全性を示すデータや学説ばかり出てくる。

 普通であれば私の考えは陰謀論のようなもので、「国や学者の言葉を信じない馬鹿だ」「金の為に裁判をしているのか」と中傷されるだろう。

 しかし私は、今の日本は水俣病の状況に酷似していると感じている。
 水俣病は戦後日本の経済成長に軽工業産業の発展が欠かせないものとして、利益追求の妨げとなる汚染対策の為の法規制が先延ばしにされていた。
そして、その理由付けとして工場排水が原因ではないとする学説を権威ある学者達に発表させていた。

 これは国家経済という多数の利益の為に少数が犠牲となった実例である。
 日本は目覚しい経済成長を遂げ「国民皆中流」と呼ばれるまでに至ったが、病に苦しむ人達にとっては素晴らしい社会であると言えたのであろうか。

 〜次の世代を守ることは誤りか〜

 私には三歳の子がいるが、風邪をひかないように健康でいられるように注意している。ハサミなどで遊んでいれば、怪我をしないように取り上げる。

 もし健康を害すると判っているのなら、それを与えないのは当たり前の事だと思う。

 安全だと主張する人と、危険だと主張する人がいるのなら、リスクを避けるのは普通ではないだろうか。
 だが、今の日本ではその普通が出来ない。
 だから私はこの裁判に参加した。

 安全を求める行動が嘲笑ではなく当然の行為だと認めさせるため。
 子供の未来を守るため。
 少数というだけで踏み躙られる権利を守るため。
 将来子供達が大人になったとき、「この国は素晴らしい国だ」と言えるだろうかと、私は問いたい。
  北山 慶成(福島県いわき市から福知山市に避難)

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