TOP    裁判資料    会報「原告と共に」   げんこくだより   ブログ   リンク

★ げんぱつ ばいしょう きょうとそしょう げんこくだより No.2 (2016/9) 

●コンテンツ
  • 私たちの近況報告
     福島の教訓を伝える保養プログラムを行いました
     子どもたちを巻き込んではいけない
     これからも声をあげ続けましょう
     聴き愛WS 〜はきだして、本来の力を取り戻す〜
     子どもたちからのレポート〜夏のハイライト
  • 応援メッセージ
  • 注目のことば
  • 編集後記
全4ページ
げんこくだよりNo.2 2016年9月
クリックするとPDFで読めます。

●福島の教訓を伝える保養プログラムを行いました

 福島原発事故から時間が経過するにつれて報道の量も減らされ、風化が進んで行くようです。しかしそれはマスコミや福島県外にお住まいの皆さんに限ったことではありません。2011年3月、現在の小学6年生は幼稚園や保育園を終えて小学校に入学するタイミング。ましてや低学年の子どもたらが当時のことを克明に覚えていることも稀です。不安や苦しい体験を子どもに伝えることは憚られ、家庭できちんと教わっている訳でもないようです。大人たらは「過ぎたことを忘れたい。触れたくない」として忌避しているのかもしれません。「こだわればこだわるほど被ばくというレッテルを自分たちに課すことになる。だから不安という感情そのものを排除した方が良い」という考え方もあるようです。その「不安」もよく分かります。しかし、当事者になってしまった福島県民が原発事故を過去化し、安心を得たい気持ちから風化や過小評価を後押ししてしまうとしたら…? こんな疑問を強く感じる時間の流れでもありました。

 福島県は、東日本大震災及び福島原発事故の影響により、子どもたちがのびのびと活動できる環境が少なくなっていることを踏まえ、子どもたちの豊かな人間性や生きる力を育成するために「ふくしまっ子自然体験・交流活動支援事業」を実施しています。福島に生活するうえで一定程度の制約があることは否めず、直接的に自然に触れ、様々な人々との交流を通じてたくましい子どもに育ってほしいとの願いが込められた素晴らしい制度です。

 私たちはこの制度を利用して子どもたちに自然体験を提供するため、「ひまわり大使ツアー2016 in 京丹後」を行いました。

 8月初旬の一週間、与謝野町や宮津市、京丹後市、京都市を訪ね、現地でご理解・ご協力下さる方々の熱いお気持ちを得て実施することができました。コーディネートには避難当事者団体「みんなの手」さんや、避難者支援活動を行う「福興サロン和」さんに、また活動支援で 「一歩の会」さん、「ドネーションシップわかちあい」さんにお世話になりました。子どもたらは「とにかく海がキレイ!」「震災後初めての海水浴で楽しかった!」「色々な人に親切にしてもらえて嬉しかった!」との感想を寄せてくれました。

 ツアー名に「大使」とあるのは、子どもたちに体験や教訓を伝える「メッセンジャー」という役割があるから。事前に4回のワークショップを行って東日本大震災や原発事故以降の体験を共有し、桃農家の苦労や社会的弱者の取り組みを取材しました。期間中、2度の交流会で発表する子どもたちは自信に満ち、目を傾けてもらえる喜びや安心感を得たようです。美しい自然があり、優しい人々が住む京丹後地方は老朽化原発の再稼働に踏み出そうとする高浜原発から30km圏内。お世話になった方々の住む地域で、福島の過酷な体験を二度と繰り返してはならないという気持ちが、子どもたらを奮い立たせたのだろうと思います。協力くださった方々の善意が子どもたらの豊かな体験につながり、素直な言葉として表出される。子どもたらは頂いた沢山の善意を、きっと次へとリレーしてくれるのだと信じます。「風評」という誤った理解や「風化」を防ぎ、福島の教訓が活かされる下地は、温かな交流と善意のネットワークの中でこそ育まれるのだううと感じた、豊かな一週間でした。
(吉野裕之、福島市、NPO法人シャローム災害支援センタースタッフ)


 △ページトップへ

原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会
  〒612-0066 京都市伏見区桃山羽柴長吉中町55−1 コーポ桃山105号 市民測定所内
   Tel:090-1907-9210(上野)  Fax:0774-21-1798
   E-mail:shien_kyoto@yahoo.co.jp  Blog:http://shienkyoto.exblog.jp/
Copyright (C) 2017 原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会 All Rights Reserved. すべてのコンテンツの無断使用・転載を禁じます。