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 ◆ 原発事故避難者の住まいの安定に関する要請書

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2016年10月24日
京都市長 門川大作 様
うつくしま☆ふくしま in 京都
―避難者と支援者のネットワーク
代表奥森祥陽

原発事故避難者の住まいの安定に関する要請書


 秋涼の候ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 さて、福一原発事故から5年7ヶ月が過ぎましたが、今なお事故は収束しておらず放射性物質は放出され続けています。政府は、「帰還困難区域(年間50mSv以上の区域)」を除く避難指示区域について、2017年3月までに解除し、2018年には損害賠償を打ち切ることを明らかにしています。また、福島県は、避難指示区域外からの避難者(以下、区域外避難者)に対する避難用住宅の無償提供を2017年3月で打ち切ることを決めました。これらの施策は、原発事故避難者に対して放射能汚染されている地域への帰還=放射線被ばくを事実上強要するものであり、私たちは断じて認めることはできません。

 区域外避難者は、家族とりわけ子どもたちの被ばくを少しでも減らしたいと思い故郷を離れたのであり、好き勝手に避難したわけではありません。福一原発事故による放射能汚染により避難を余儀なくされた被害者なのです。

 区域外避難者は、夫婦が別居する二重生活の世帯や母子だけの世帯も多く、経済的に厳しい状況が続いています。さらに、事故から5年7ヶ月を経て、避難先で新たな仕事やコミュニティを得たり、子どもたちも友人関係ができ、現時点では福島に帰還することを選択できない世帯も数多く存在します。なお長期の避難生活や新たな地域での定住を希望する避難者に対して、住宅支援をはじめとした総合的な支援が必要です。

 福島県は昨年12月、県外の避難先にとどまる避難者への支援策を発表しましたが、その内容はあまりにもお粗末なものです。「民間賃貸住宅家賃の補助」については、1年目は家賃額の1/2(上限3万円)を補助、2年目は家賃額の1/3(上限2万円)を補助するとしていますが、3年目以降の補助はありません。
避難者からは、「2年で補助がなくなれば家賃の支払いができなくなる」と民間賃貸住宅への転居に対する不安の声が寄せられています。福島県は、8月17日に収入要件や対象となる住宅等の見なおしを発表しましたが、家賃補助額や補助期間については改善されませんでした。

 また、「公営住宅への優先入居」は福島県から避難先自治体に「優先入居の取り扱いを要請する」というものにしかすぎません。

 このような不十分な支援策のまま、2017年3月末で「みなし仮設住宅」の無償提供が打ち切られてしまえばどんな事態がおきるでしょうか。新たな住宅を確保することができないまま「みなし仮設住宅」を追い出され、路頭に迷ってしまう避難者が出るかもしれません。被害者である原発事故避難者の命が脅かされるような事態が許されていいはずはありません。

 日本政府が批准している、「経済的,社会的,および文化的権利に関する国際規約」(社会権規約)第11条には、すべての人に適切な居住の場所が保障されるべきことが規定されています。この権利の内容は、社会権委員会の一般的意見4(全員一致の確立された見解)として補強されており、「安全に,平穏に、人間としての尊厳をもって生きる場所をもつ権利」とされています。社会権規約には法的強制力があるため、地方自治体にも当然ながら順守義務があります。京都市としても社会権規約を順守する立場にたち、原発事故避難者の「居住の権利」を擁護していただくことを要請します。

 また、国連「国内強制移動に関する指導原則」(以下、指導原則)は法的拘束力はありませんが、国内避難民保護の原則についての国際基準を定めたものです。原則1において、「国内避難民には、自然もしくは人為的災害の影響の結果として、またはこれらの影響を避けるため、自らの住居もしくは常居所地からのがれもしくは離れることを強いられまたは余儀なくされたもの」が含まれるとし、「国内避難民は、十分平等に、自国において他のものが享受するものと同一の国際法および国内法上の権利および自由を享受する。国内避難民は、国内避難民であることを理由として、いかなる権利および自由の享受においても差別されてはならない」と規定しています。おなじく原則18,2において「管轄当局は、状況のいかんを問わず、かつ、差別することなく、少なくとも、国内避難民に対して次のものを与え、かつ、これらを安全に得ることを確保する」と規定し、(a)不可欠の食料および飲料水、(b)基本的な避難所および住宅、(c)適切な衣類、(d)不可欠の医療サービスおよび衛生設備、を明記しています。

 国内避難民である原発事故避難者が居住している住宅が一方的に打ち切られることがあるとするならば、国際基準である指導原則に反することになり,国際的信用に影響するおそれがあります。

 さらに、国連人権理事会「健康に対する権利」特別報告者アナンド・グローバー氏による「福島に関する調査報告書」の第69項では、「年間放射線量1mSvを超えるすべての地域において被災者が避難、居住,帰還のいずれを選択した場合であっても被災者が必要とする移転,住居の確保、雇用、教育、その他の必要不可欠の支援に関する財政支援を提供するように日本政府に強く要請」していることについて、京都市としても十分に留意し、原発事故避難者への支援にあたっていただくことを要請します。

 以上から、原発事故避難者の住まいの安定をはかるため、避難先自治体である京都市に対して下記項目について早急に実施していただくよう要請いたします。よろしくご検討ください。



  1. 原発事故被災者・避難者に対する生活、住宅、就労、検診、医療等の総合的な支援策の実施を国に要望していただくこと。

  2. みなし仮設住宅の長期無償延長を国と福島県に要請していただくこと。

  3. 岩手県、宮城県、福島県が一部地域について仮設住宅、みなし仮設住宅の無償提供を1年間延長したことを受けて、京都市の独自施策として、現在、みなし仮設住宅に入居しているすべての世帯の入居期限を1年間延長していただくこと。

  4. 現在、みなし仮設住宅に入居している避難者で、避難元(福島県外を含む)に住宅がない場合や罹災証明書の交付を受けている場合で、現在居住している市営住居に住み続けたいとの希望がある避難者については、「特定入居」の取扱いとしていただくこと。

     また、現在はみなし仮設住宅には入居していない世帯についても、避難元に住居がない場合や罹災証明書の交付を受けている場合は、「特定入居」として市営住宅への入居を認めていただくこと。

     併せて、家賃について減免措置を講じていただくこと。
     (福島県から避難先自治体に対して要望している。奈良県では特定入居をすでに実施している。大阪市でも実施予定。)

  5. 原発事故子ども被災者支援法に基づく市営住宅の「優先入居」については、希望する避難者が全て入居できる戸数を希望する地域に確保していただくこと。「支援対象地域」(福島県浜通り、中通り)以外からの避難者(福島県外を含む)についても、「優先入居」の対象としていただくこと。

     併せて、家賃について減免措置を講じていただくこと。

  6. 市営住宅に入居している避難者が「優先入居」に応募しているにもかかわらず当選しないため、みなし仮設住宅の提供終了までに住居移転が完了しない場合は、「優先入居」に当選するまでの間、現住居への入居を認めていただくこと。

  7. 市営住宅に入居している避難者が「優先入居」に当選した場合で、現在住んでいる市営住宅への継続入居を希望する場合は、現在住んでいる住居へ振り替えることができる制度を導入していただくこと。(埼玉県で実施)

  8. みなし仮設住宅からの移転に際して、京都市の独自支援策として引越費用を支給していただくこと。(秋田県、新潟県で実施)

  9. 福島県の支援策(民間賃貸住宅家賃補助)について、京都市独自に上積み支援をしていただくとともに、福島県の収入要件で非該当となった世帯に対して、京都市独自に家賃補助を実施していただくこと。(新潟県で上積み補助を実施)

  10. 上記4、5、7で居住の継続が認められた場合、必要最低限の住宅の修繕を行っていただくこと。

  11. 京都市の住宅支援情報だけでなく、京都府の住宅支援情報も京都市内避難者に提供していただくこと
以上

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