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★ 準備書面(9) ―WG報告書と因果関係― 
 第6 結論 
平成26年11月7日

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第6 結論

 以上に述べたとおり,WGは,政府による区域再編を念頭において設置されたものであり,そこでの意見形成の過程等に問題があることを措くとしても,WG報告書が是認した年20mSvという基準は,あくまで,「参考レベル」である。
 年20mSvという基準は,決して医学的な危険性の存否を決する性質のものではない。
 年20mSvという低線量被ばくの影響についてWGは「ない」とは述べておらず,むしろWGが依拠するLNT仮説によれば,影響は「ある」と措定しているのである。その上で,WGではリスクの評価を行い,参考レベルの設定を議論したに過ぎない。
 しかし,本件において問題となる避難行為と事故との因果関係の問題は,参考レベルの設定とは全く異なる次元の話である。すなわち,社会的な規範として公衆の被ばく限度を超えるような状態にあって,そのような事態を避けるためにとった行為は,社会的に相当と判断されるべきなのである。
 したがって,原告らが自ら避難をした行為の相当性を判断するにあたって,WG報告書で年20mSvが是認された事実は何ら関連性のないものとして扱うべきであり,WG報告書に依拠した被告らの主張は失当である。

以上


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