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★ 「原告と共に」No.46  2024年1月発行 

● コンテンツ

      

「国に責任なし」の高裁判決相次ぐ 大阪高裁に集まろう
 (会報1面)
      

 12月12日、京都訴訟の控訴審第20回期日が行なわれました。その日の模様は、4~5面で報告していますので、ぜひお読みください。

 全国的には11月から12月にかけて3つの高裁判決がありました。
 11月22日名古屋高裁判決(だまっちゃおれん愛知岐阜訴訟)、12月22日東京高裁判決(千葉2陣訴訟)、12月26日東京高裁判決(東京訴訟)です。

 いずれも最高裁不当判決(多数意見)に追従する、「国に責任なし」の不当判決でした。名古屋高裁判決は、地震本部の長期評価について「理学的根拠にもとづくものとして信用性があり、想定津波の到来を予見することは可能であった」と予見可能性を認めたものの、国が規制権限を行使しなかったことの違法性については判断せず、「仮に適切な措置を講じるよう命じたとしても、敷地の南東側からの海水の浸入を防ぐための防潮堤の設置となった可能性が高く、実際の津波の浸入を防げなかった可能性が高い」として結果回避可能性を否定。国賠法上の国の損害賠償責任は問えないとしました。

 12月の2つの東京高裁判決に至っては、まさに最高裁不当判決の「コピペ(コピー&ペースト)判決」と揶揄されるように、予見可能性と規制権限不行使の違法性については判断せず、「長期評価を前提に国が津波対策を義務づけ、東電が対策を取っていたとしても、津波による原発事故に至った可能性が相当にある」と結果回避可能性を否定し、国の責任を否定したのです。

 京都訴訟も前回期日(12/12)に原告本人尋問を終え、いよいよ最終局面を迎えています。大阪高裁が最高裁判決に追従するのを許さないために、次回期日(3月1日)にはこれまでを大きく上回る規模でパレードを行ない、傍聴席数をはるかに超える参加者を結集したいと考えています。
 3月1日にはぜひ大阪高裁にお集まりくださるようお願い致します。 

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●年頭のご挨拶
(会報2面)
      

◆原告団共同代表 萩原ゆきみ
 昨年も様々な形でお心をお寄せ下さり 本当に有難う御座いました!
 仙台のような、一般に低線量と思われているところより避難された原告さんらも勝訴することが「核が蔓延(はびこ)る世界中の希望」に繋がっていきます。
 裁判官に勇気を持って公正な判決を書いて頂く為に、更に大きな民意をお示し下さいますようお願い致します。今、本当に正念場です!

 「決して被災者と自覚しているものだけの問題ではなく 自分ごととして捉えてもらう」 そんな公正な判決を書いていただきましょう!
 今後起こるかも知れない健康被害に備え「健康になる為の施策」の実現に繋げていきたいです。甲状腺検査の度に、胸が引き裂かれるような思いをしてきたのですから。

 ところで皆さま冊子『国際社会から見た福島第一原発事故・国連人権法~国連勧告をめぐって私たちにできること』の在庫がまだあります。国連の勧告は裁判は勿論、脱原発、核兵器を無くす為に大きくお役に立つ事、間違い無しです!

 最後に今年も皆様にとって、よりご多幸の1年であることを心よりお祈り申し上げます。

◆原告団共同代表 福島 敦子
 新年明けましておめでとうございます。
旧年中は、支援する会のみなさまからの大変強じんなご支援のおかげで傍聴席は満杯。さらに、法廷外から支援者さんたちとともに行った伝説のパレードによる元氣なメッセージは必ずや裁判長へ届いており、完全勝訴まであと一歩までせまってまいりました。全ては支援する会のみなさまのお力添えによるものであります。

 全国の原発関連の裁判に関していえば、腐っても「最高裁おともだち判決」の影響があまりにも大きいことを感じずにはいられない一年となりました。法廷外でどれほど頑張れば国の責任が問えるのかを考えています。

 支援する会のみなさまは、「自分のこととして考えている」と話してくださいます。日本の公害、戦争における災難は、二度遭うという印象を持ち続けてきました。直下型の最大級の揺れが想定されている南海トラフ地震では、私たち原告のような思いや無用な被ばくをする被害者を出してはならないのです。
この裁判の行く方がその災害に影響を強くもたらすものと捉え、襟を正してこの一年闘ってまいりますので、ご支援よろしくお願い申し上げます。

◆原告団共同代表 堀江みゆき
 新しい年を迎え、新年のご挨拶を申し上げますとともに、昨年もひとかたならぬご支援を賜りましたことに感謝申し上げます。

 原発事故から年になる本年は、私たち京都訴訟にとって、大きな節目となりそうです。期日の度に、裁判所内にも響いていたであろう、パレードに参加した人の「原発事故は国の責任」というコール。そして、昨年の第回期日で原告の本人尋問を聞いた裁判官は、どんな判断をするのでしょうか。
 私には昨年4月に生まれた孫がいます。その孫の寝顔をみていると、幼い子を抱え避難を決意した親の気持ちは想像を絶するものがあり、胸が締め付けられる思いがしました。想像するのはそう容易いことではないかもしれませんが、我が事としてどこまで考えることができるか、それはとても重要なことです。

 裁判官には、最高裁や各高裁の判断、ジャーナリストや専門家の批判など、様々な情報もあると思いますが、原告たちの被害、思いを我が事として捉え、東電と国の責任を明確に認める判断をしてほしいと心より思います。
 大阪高裁の結審、そして判決に向けて、原告もさらに団結して悔いのないように取り組みますので、裁判官の判断を後押しできるように、皆さまには、さらなるご支援をよろしくお願い申し上げます。

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(会報3面)
◆弁護団長 川中宏弁護士
 新年おめでとうございます。
 今年の3月が来れば、原発事故の発生から13年、提訴してから11年、大阪高裁に控訴してから6年になります。なんとも長いですね。この長い裁判は、我が国の司法が迅速な権利救済に十分役割を果たし得ない欠陥を有していることを露呈していると思います。それにもかかわらず、この長い期間、京都訴訟団は、支援する会の厚い支援を受けながら、団結をかためて堂々たるたたかいをしてきたと思います。
 そして、ゴールはもうそこに近づいています。今年中には確実に大阪高裁の判決が出されます。そこで絶対に勝利し、その後に続く最高裁でのたたかいで、国の責任をめちゃくちゃな論理で否定した、あの反動的な「6・17最高裁判決」を覆すために、もう一踏ん張り頑張りましょう。

 原告団の皆さんは、すでにその覚悟を固めて、「最高裁判決を覆す」というプラカードを掲げてデモ行進しています。弁護団もそこに焦点を合わせて頑張ります。支援する会の皆さんも引き続きご支援を宜しくお願いします。

◆弁護団事務局長 田辺保雄弁護士
  いよいよ決戦の年となります。
  昨年6月17日の不当な最高裁判決以降、残念ながら、各地の下級審裁判所が思考停止したかのように見えます。被害救済という点でも後退が甚だしいことに心を痛めておられる方も数多くおられるだろうと思います。

  しかし、訴訟当事者である私たちにできることは、判断するのが誰であっても正しい判決ができるよう、裁判手続きに必要な証拠を提出し、そして、その証拠に基づいて私たちの求めがいかに正当であるかを論理立てて説明することだけです。
 昨年月の原告本人尋問によって、私たちは、ほぼすべての証拠を出し切りました。後は、私たちの主張が、証拠と法律の正義に基づいていることを説明するのみです。

  弁護団では、国際人権、IAEAのセイフティスタンダードなど、法律家であれば無視できないであろう証拠を裁判所に示してきました。それらは、まだどこの裁判所でも正面から判断されておらず、私は、これらの証拠を前にして、裁判所が不当な判決をすることはできないと心から信じています。
 本年も、弁護団を見守って頂きますよう、お願い申し上げます。

◆支援する会事務局長・奥森祥陽
 明けましておめでとうございます。
 京都訴訟の控訴審は昨年12月に原告4名の本人尋問を終え、2024年は結審・判決にむけた最終盤の時期となります。いっそうのご支援を心からお願いいたします。

 よく、「正義は勝つ」と言われます。しかし、原発賠償訴訟を見る限り、「正義だけでは勝てない」ことを痛感します。国の責任を否定した最高裁判決の影響は極めて大きく、昨年のいわき市民、愛知岐阜、千葉(第2陣)、東京訴訟の高裁判決でも国の責任が否定されました。原告の側に正義があるのは間違いありません。しかし、勝利判決をかちとれていないのです。

 では、正義が勝つためにはどうすればいいのでしょうか。
 私は、「勝つためには力のある正義が必要だ」というある弁護士の言葉を思い出しました。私たちにとっての力とは、原・弁・支の団結であり、積み上げられた署名であり、傍聴席を満杯にする支援です。そして、それらが揺り動かす世論の力です。正義が勝つ状況を京都訴訟で作り出しましょう。

 次回、第21回期日は3月1日(金)14時30分開廷です。私たちは、裁判所周辺を埋め尽くす怒濤のパレードに挑戦します。メッセージボードや幟・旗を掲げ、一人ひとりが大きく声を上げましょう。大阪高裁の裁判官に、「国に責任あり」「勇気を持って公正な判決を」と力強くアピールしましょう。

(お詫び)
 昨年は裁判所前宣伝行動や期日ごとのパレードの開催などに追われ、総会を開催することができておりません。今号の8面に会計報告を掲載させていただきますので、ご了承ください。

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●12/12第20回期日報告
(会報4~5面)
       

  12月12日は京都訴訟控訴審第20回期日。4人の原告本人尋問のためいつもより1時間早い13時30分開廷でした。

〈第2次署名を提出〉
 この日11時に、今年の3月から文面を変えて集め始めた第2次公正判決署名を初めて提出しました。団体署名180団体(1冊)、個人署名6932筆(4分冊)と第1次署名の残り(前回提出後届いたもの)の計6冊のファイルを原告5名と支援スタッフ上野が1冊ずつ持って大阪高裁民事12部に提出に行きました。

〈裁判所一周パレード〉
 11時30分から裁判所の向かい側にある西天満若松浜公園でアピール集会開始。前日まで雨100%と予報され、当日朝も霧雨が降っていたせいか、開会時には「集まりが悪いな」という状況でしたが、徐々に人が集まり出しました。遠方からは、かながわ訴訟原告団長の村田さん、支援全国ネットの岸本さんが、近くでは関西訴訟原告団長の森松さん、ひょうご訴訟弁護団の津久井弁護士とサポーターの松本さんが応援に駆けつけてくれました。

 アピール集会はいつもより短い30分で終え、12時にパレードへ。その頃には参加者の数も増え、ざっと100人規模になっていました。今回は宣伝カーを先頭に、原告が横断幕を持ち、そのあとに1列3人ずつ並んで出発。適宜、このパレードの趣旨を説明しながら、「原発事故は国の責任」「規制権限何のため」「命と安全守るため」「権限不行使違法です」…とコールをして裁判所を一周しました。

 参加者からは「たくさん集まってアピールできてよかった。原告さんたちの元気にはげまされた」、「元気が出た。コールも訴訟向けによく考えられている。準備も手際がよかった」といった感想が寄せられました。
       
〈傍聴券は抽選に〉
 そのあと裁判所の別館前に移動して抽選券を受け取り、抽選を待ちましたが、パレードに参加して帰った人もおり、傍聴席87席に対して交付された抽選券も87枚。このままでは無抽選で全員傍聴となります。ひやひやしながら待つことしばし。時間ギリギリに一人が来所し、交付数が88枚に。結局1つのはずれ番号を決めるために抽選が行なわれることになり、なんと事務局スタッフが「幸運」をつかむことに。交付時間を過ぎてから数人の来所者がありましたが、傍聴券を譲ってくれる方もおられ、希望者全員が無事傍聴することができました。

〈原告本人尋問〉
 法廷では、4人の原告の本人尋問が行なわれました。尋問は原告側代理人による主尋問と被告側(東電)代理人による反対尋問に原告が答えるという形で進行しましたが、国の代理人は4人に対して反対尋問をしませんでした。国にすれば、国の賠償責任さえ認められなければ、それでいいということなのでしょう。

◆原告番号9-1さん(福島市からの避難者。会津に住んでいて一緒に避難した長女の避難の相当性が認められなかった)は、身近にいた複数の人が白血病やがんで亡くなっていること、長女が一緒に避難する必要があったこと、その長女が京都に避難してきてからうつ病になったが、長女の意向で一審ではそのことを言えなかったことなどを証言。

◆原告番号47さん(仙台市からの避難者で、一審では避難の相当性が認められなかった)は、子どもを遊ばせていた近くの砂場や近くの小学校のプールから基準値を超える放射線量が検出されたことやお母さんたちの勉強会に参加して食品の汚染を知り、汚染した地域に住みながら子どもたちを守るのは限界があると思ったことから避難を決断したと証言。

◆原告番号27-2さんは、夫が家業を辞めて家族に合流して以降の困難―夫がうつ病になり仕事が続けられなくなったことや長女が大阪府北部地震で3・11当時の出来事がフラッシュバックしパニック状態になり、いまでも過呼吸や胸が苦しくなったり、吐くなどの症状が出るので、通院していることなど―を証言。

◆原告番号18さんは、事故当時のことを思い出せなかったり、眠れなかったりという症状があり、原告のPTSDリスクを調べるアンケート調査の結果、「あなたはリスクが高い」と言われたこと、避難してからさまざまな病気―大腸憩室症、子宮筋腫、帯状疱疹、髄膜種―になったことを証言したほか、お湯をわかすだけの原発のせいで、私たちは人生を棒に振った。私たちはスタートラインに立てていない。裁判官は国の責任を認め、原告全員に完全賠償してほしいと締めくくりました。

 傍聴した支援者からは「とても重く深い内容で、原告の皆様のこの年間を思い、しっかり受け止めなければと思った」、「こんな経験をして、なおもみんなのために裁判を闘うみなさんに感謝・感謝・涙!ご自身の心身の痛みPTSD、ましてや子どもの苦しみを法廷で語ることはどれほど辛いか。言葉にしてくれた力を強く感じ、心を揺さぶられた」、「事故後長きにわたる苦しみ、一審では言えなかったことも言え、裁判長にひびいたと思う。傍聴席でも目をおさえている人が何人もいた。本当に事故が人生を狂わせているとよくわかった」などの感想が寄せられました。

〈次回で結審か?〉
 原告本人尋問が終わったあと、原告側から1つ準備書面を出すという話があり、被告側(東電)からは反論を出したいという話があったのを受けて、裁判長から「年内に審理終結に向けた手続きについての意見書を提出してください」という指示がありました。通常行なわれる次々回の期日の指定はありませんでした。

 普通に考えれば、次回(3月1日)にもう一度口頭弁論を行ない、次々回に結審なのかなと思いますが、川中弁護団長は報告集会で、次々回の指定がなかったことも踏まえると「3月結審の可能性もあるのではないか」と発言されました。
 いずれにせよ結審間近であることは間違いありません。最後までご支援のほど、よろしくお願いします。

〈激励メッセージ〉
 最後に、原告への激励メッセージをいくつか紹介します。
◇みなさんの人生かけて戦っているのは私たちの代わりなんだと実感しています。我が事です。みなさんの勇気に感謝します。
◇原告のみなさんが苦しくても勇気をふるいおこして証言したのだから、次は裁判長が勇気をふるいおこす番。最後までがんばろう。
◇よくぞ勇気を持って訴えてくれた。きっと後の世の灯となるはず。大変だががんばろう。

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●千葉訴訟&東京訴訟傍聴記
 (会報7面)

◆原告・小林雅子
 12月22日の福島第一原発事故損害賠償千葉第2陣訴訟、12月26日の福島原発事故被害東京第1陣訴訟の傍聴応援へ行って参りました。
結果は千葉、東京共に、『国の責任を認めず』という不当判決でした。そして、両裁判共に6・17最高裁判決をなぞった『コピペ判決』でした。

 まずは12月22日の千葉訴訟第2陣。
 開廷直後、弁護団の森川先生が『判決骨子、要旨を出して欲しい。出さないのならその理由を説明して欲しい』と発言されました。それに対して、土田昭彦裁判長は『以前にも言ったとおり、判決骨子、要旨は出しません』
 森川先生→『でしたら、出さない理由を説明して欲しい』
 土田昭彦裁判長→『理由は従前、説明したとおりです(従前の説明とは、答える義務はないという説明のこと)』
 他の弁護団の先生たち→『私は説明を聞いていませんよ』
 土田昭彦裁判長→『いちいち電話での問い合わせに答えていられない』(最後の方はモゴモゴと聞きとれず)、その後、おもむろに判決を読みあげる土田昭彦裁判長。判決の読みあげが終わると法廷内は『ふざけるな!』『卑怯者!』その他様々な怒号が飛び交う中、逃げるようにそそくさと退出する土田昭彦裁判長。

 あまりにも酷い土田昭彦裁判長の態度に唖然とし、呆れかえって、お口ポカーン状態になってしまいました。森川先生も『50年以上弁護士をやっているが、こんなことは初めて』とおっしゃっていました。(そりゃそうでしょ)

 そして肝心の判決文は、6・17最高裁判決をコピー&ペーストしたような、たった49ページの『コピペ判決文』。判決骨子、要旨も出さず、原告、私達市民の知る権利を妨げた土田昭彦裁判長は司法に携わる者として恥ずかしくはないのでしょうか?怒りに震えながらも、26日の東京訴訟はよい判決が出るよう祈りながら帰路につきました。

 そして12月26日の東京第1陣訴訟。
 傍聴席84席に対して傍聴希望者は149名。くじ運が悪い私ですが、抽選にあたり、傍聴券をゲットする事が出来ました。
 同じ東京高裁で行われた千葉訴訟があまりにも酷い判決でしたので、『今回は、今度こそは勝利しますように。国に責任が認められますように』と祈りながら法廷へ入りました。しかし、東京訴訟も国の責任を認めない不当判決。認容額も減額という酷い結果でした。
 
 三角比呂裁判長が『一審被告の控訴に基づき、原判決中一審被告国の敗訴部分を取り消す』そう言った直後、嗚咽が聞こえました。嗚咽する方向を見ると原告?君が(結審予定時に意見陳述をした)激しく泣いていました。この13年間?君がどんなにつらい思いをしてきたか、意見陳述や?君のお母さんから話を聞いていたので、?君の慟哭を見ながら、彼がどんなに悔しい思いをしているのかが伝わってきて、私も涙がこぼれて来ました。

 そして『水密化、電源の高所設置は一般的ではなかった』と裁判長が言った時、思わず『嘘でしょ』と声に出して呟いていました。
 東京訴訟も千葉訴訟と同じく6・17最高裁判決をなぞっただけのコピペ判決でした。この国の司法の劣化をまたもや見せつけられたという感じです。

 閉廷後の期日報告集会では、おしどりマコ・ケンさんのトークショーがありました。その中で、水俣病裁判がどういう勝ち方をしたのかという話題になりました。水俣裁判の弁護士さん、原告の方の言葉に勇気とヒントをもらいました。
 『皆、マジョリティを目指そうとするけど、そんなことしなくてもいい。水俣は、少数の人たちがあちこちで闘っていた。岩盤で、絶対割れないような岩でも、どこかの1人が小さい穴を開けて、こじ開けて、それを全員でこじ開けていく闘い。マイノリティが少しずつ闘ってきた歴史。マイノリティでも独立して闘い、調べて、考えて、動くことが大切』

 『被害者が動いて頑張らんと、他人は誰も国もやっていかんから、被害者の自分たちが頑張らんといかんでしょうね』(水俣の坂本フジエさんの言葉)
 『つらいけど、怒って欲しい。助けてって、言って欲しい。そうすることが後の未来を守ること。大声で言って初めて人が集まってくる』(おしどりマコさん)

 6・17最高裁判決以来、酷い判決が続いていますが、今まで以上に大声で怒り、助けを求め、不当判決を受けた訴訟団の敵を絶対に討つ?『敵取ったるで!』そう決意を新たにした裁判傍聴でした。
  
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●東京訴訟原告団・弁護団の声明(抜粋)
(会報7面)

◆一審被告国の責任について
 本判決は、原子力安全規制法令の趣旨・目的について判断せず、「長期評価」の信頼性について判断を回避し、原発についての安全規制のありかた、本件原発事故に至るまでの一審被告東京電力や保安院の対応についての判断を示さなかった6・17最高裁判決の多数意見に、結論のみならず、その言い回しまでコピーアンドペーストして、一審被告国の責任を否定した。

 規制権限不行使の国賠違法についての従来の最高裁の判断枠組みによる検討を行わなかった。6・17最高裁判決の多数意見に対しては、法律研究者から「因果関係要件の起点である、規制権限不行使の違法についての判断をおろそかにした」(大塚直Law&Technology99号91頁)もの、さらには「省エネ判決」(津田智成ジュリスト1579号91頁)など多数の批判が寄せられているところである。このように法律研究者だけでなく広範な批判にさらされている6・17最高裁判決の多数意見に盲従した裁判体の態度は、裁判官の独立を放棄し、その職責を果たさなかったものとして厳しく批判されなければならない。

 (中略) 一審判決を免責する今回の判決は、国民の権利・利益侵害から救済すべき司法の役割を放棄した極めて不当な判決といわざるを得ない。

◆最高裁6・17判決を克服するために
 本判決は、2022年6月17日の最高裁判決の多数意見の結論のみに追随する硬直的な判断にほかならない。このような判断がなされることは、司法に対する国民の信頼を決定的に失わせるものであり、行政の誤りを司法判断でただすことを規定した日本国憲法が定めている三権分立を掘り崩すものでもある。
 下級審が司法の役割を放棄し、最高裁に盲従することが明らかとなった今、最高裁6・17判決の過ちを正せるのは最高裁だけである。

 私たちは、全国でたたかわれている福島原発事故について国の責任を問う訴訟団とともに、上告審において、福島原発事故に対する国の責任を明らかにする最高裁判決を勝ち取るために全力を尽くす決意である。

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支援する会の昨年度決算と今年度決算について
 (会報8面)

 今年度は、春先から大阪高裁前や街頭での宣伝行動や団体まわりなどに取り組んだことや東京訴訟、千葉2陣訴訟の結審、いわき市民訴訟の最高裁行動に代表派遣したこともあって、総会&学習講演会開催の時機を失してしまったので、紙面を借りて2022年度決算と2023年度の予算執行状況を報告させて頂きます。
 昨年度も今年度もカンパ収入が年会費収入を上回る傾向が続いています。コロナで裁判に参加する機会が減り、関心が薄らいだことや会員の高齢化も影響しているかも知れません。そのため予算規模を小さく見積もっています。それでも活動に必要な支出はまかなえています。
 裁判も最終局面を迎えており、今後は判決時に遠方の原告にも参加してもらうための交通費や舞台が最高裁に移ってからの東京への交通費の補助が必要になります。今後ともご支援のほどよろしくお願いします。
   
   

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