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★ 「原告と共に」No41  2022年10月発行 

● コンテンツ


●最高裁判決を乗り越えよう(9/9控訴審第15回期日)
   
    

◆9月9日大阪高裁で、京都訴訟第15回口頭弁論が開かれました。

 この日、抽選券配布が始まる前に、集まった原告と支援者で「公正な判決を求める署名」の第4回提出行動を行ないました。団体署名が24団体、個人署名が1982筆、これで累計は88団体、12883筆となりました。そのあと、いったん東門から歩道に出て、正門に向けて入廷行進を行ないました。
この日はコロナによる座席制限が解除されて傍聴席は83席でしたが、傍聴参加を訴える宣伝を控えたため、抽選券配布に集まった支援者は45名でした。

 この日は被告側が主張・反論する番でしたが、プレゼンはなく、すぐに閉廷となりました。次回期日は12月7日(水)、次々回は来年3月2日(木)、いずれも14時半からと決まりました。

 閉廷後、場所を中央公会堂の大会議室に移して、報告集会が開催されました(その模様は2~4面に)。

◆国連特別報告者が訪日調査実施

 9月26日から10月7日にかけて、国連特別報告者セシリア・ヒメネス・ダマリーさんによる国内避難民の人権に関する訪日調査が実施され、10月7日に記者会見が行なわれました。

 ダマリ―さんは、「強制避難者も自主避難者も同じ国内避難民であり、同等の権利を持つ。支援や援助を受ける上での区別は取り除くべき」、「日本には国内避難民を保護するための法律があるが、避難者の脆弱性に対処するために効果的に使用されていない」、「避難せざるを得なかった人びとが帰還するか、避難を続けるかにかかわらず、より恒久的な対応策がとられるべきだ」、「立ち退き訴訟に直面している貧困層や高齢者、障がい者などの脆弱な避難者に住宅支援策の再開を推奨する」などと述べました。

 11日にはプレスリリースと共に調査終了報告書が公表されました(5面を参照のこと)。ダマリ―さんの報告は避難者を励ますものですが、政府がその提言に素直に従うことはありません。避難の権利要求に確信を持ち、政府にその実現を求めていかねばなりません。

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●9/9控訴審第15回期日報告集会

弁護団あいさつ

・川中宏弁護団長
 前回期日は病気で欠席したが、今日までの間に最高裁の不当判決があった。原発事故の発生という不条理が、最高裁の不当な判決によってさらに不条理が高まった。先日、福島県いわき市に行く機会があった。楢葉町の宝鏡寺の早川住職はずっと原発と闘ってきた人だが、立命館大学の安斎育郎先生と共同で境内に伝言館を作って、原発の恐ろしさや危険性を伝える活動をされていた。そこに「原発悔恨・伝言の碑」があって、「原発は本性を剥き出し ふるさとの過去・現在・未来を奪った 人々に伝えたい 感性を研ぎ澄まし 知恵をふりしぼり 力を結び合わせて 不条理に立ち向かう勇気を!」とあった。私たちも、「感性を研ぎ澄まし 知恵をふりしぼり 力を結び合わせて」この困難を乗り越えよう。

◆支援する会あいさつ

・共同代表・平信行さん(京都「被爆二世・三世の会」世話人代表)
 この原発賠償訴訟と合わせて、私たちは広島・長崎の皆さんが闘ってきた原爆症認定集団訴訟も応援してきた。最初の提訴が2003年だったので、足かけ20年になる。いま最後の原告が最高裁への上告中で、集団訴訟としてはほぼ終わりを迎えている。全国で450人を超える被爆者が原告になって闘ってきたが、勝訴した数が圧倒的に多くて、恐らく勝訴率は85%を超えるだろう。裁判闘争は終わって行くが、私たちが求めていた基準の抜本的改定までには至っていない。核の被害者がいる限り、原発や核がある限り、私たちの運動が終わることはないというのが、原爆症認定集団訴訟に関わって来た皆さんの一致した思いだ。この原発賠償訴訟も変わらず応援していく。

◆弁護団報告

・田辺弁護士
 最初に、今日の法廷でのやり取りを簡単に報告しておきたい。前回期日までに総論的な主張は出し切ったので、今日は主張は出していない。ただ、そのあとに最高裁の不当判決が出たので、これに対して原告側が何も言わない手はないと思っている。進行協議の場で、責任論については反論するという予告をしておいた。これについては、行政法の先生方に教えてもらいながら勉強会をやっているので、それが終わったところで書面として出したい。

 本行(大阪大医学部名誉教授)証人について、東電が採用する必要はないという意見書を出した。本行先生は、放射線は他の発がん物質と複合的に作用するので、少しであっても被ばくはない方がいいということを分かりやすく説明しておられる。これに対して東電は、アンスケア(UNSCEAR、国連科学委員会と訳される)報告書も出ているしとか、一審で崎山比早子さんの証人尋問もやったしなどと言っている。法廷では、それに反論した。

 研究者たち(本行先生もそのメンバー)が報告書の検証活動をやられた。報告書には科学的に見ておかしなことが沢山ある。例えば、日本人は昆布を沢山食べていて甲状腺にすでにヨウ素があるので、吸収率を半分にしたと書いているが、その根拠に使われた論文は1960年代のもので、それ以降日本人の食生活は随分変わっている。意図的に原発事故で取り込まれた放射性ヨウ素の量を減らそうとしている。一般の人が全部読むわけではないので、本行先生に訊こうじゃないかと言った。

 もう1つ、東電の新「弁済の抗弁」というのがあって、要は払い過ぎになっているという主張だが、最高裁は受理せず判断しなかった。高裁は基本的に東電の主張を認めていない。ところが、国は東電の新「弁済の抗弁」を援用するかも知れないと半年くらい前から言っている。中間指針追補を決めた国が払い過ぎだと主張するのは問題なので、今日も国にそういう主張をするなら覚悟してやりなさいと警告しておいた。

 (田辺弁護士がこのあと話した「最高裁判決をどう乗り越えるか」については4面に掲載)

・損害班・井関弁護士
 今日、一審原告の本人尋問を申請した。堀江さん、福島さん、河本さんの3名。
 控訴審での争点の1つは低額の慰謝料、2つめに避難の相当性が不当にも認められなかった原告さんがおられるので、これを認めさせること、それと先ほどの責任論。避難の相当性と損害論を裁判官にしっかり理解してもらうために3人の話を聞いてもらう。
 
 まず堀江さんの長女さんと河本さんは避難の相当性が認められなかった。控訴審になって、土壌汚染や出荷制限など命と健康を守るための法律があるが、いくつもの法律に違反した状態が当時あったことを改めて主張している。そういうものに当てはめて、避難の相当性があったことを主張したいと考えている。損害論については、辻内先生や竹沢先生ほかの意見書を出して、総論的にはかなり主張・立証してきたが、それがこの3世帯の場合どうだったのか、ということをしっかり裁判官に聞いてもらう。3名の方は大変だろうけれども、弁護団としてサポートしていく。
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●原告あいさつ

       

◆堀江さん
 本人尋問の1人に指名されて、今から責任を感じている。個人的にもいろいろスケジュールがあり、そこに本人尋問の準備が入って来ると、私の処理能力も衰えているので不安を感じているが、皆さんの期待に応えられるよう頑張る。

◆齋藤さん
 今日は若い学生さんも来られて、心強く感じている。昔も映像学部の学生さんが来たり、避難者のことを卒論にしたりする方もいて、裁判の力になるんじゃないかと思っていた。声上げるのは難しいけど、ちょっとでも目の前のことが進めばいいのかな、頑張り過ぎずに自分のペースで生きればいいのかなと思う。

◆川崎さん
 最高裁判決は衝撃的だったが、三浦判決(反対意見)が付いていたのは唯一の救いだったなと思っている。これを武器にして闘っていけたらという思いがあるが、各裁判所の裁判官が多数意見に同調した判決を出すんじゃないかという危機感もあって、京都訴訟も他の訴訟も精一杯頑張って勝利判決を積みあげて、今回の判決を覆して行かないといけないと思っている。

◆菅野さん
 私たちは集団訴訟を闘っているが、他の人の顔色を見たり、みんなどうしてるかなっていうので自分の方向性を決めるのではなく、自分はこうだからこうするんだっていう強い思い、熱い心を大切にして最後まで行きたいなって最近強く感じている。
 子どもも自分自身も被ばくを恐れて京都に来た訳だけれども、今もこの時間も被ばくしながら働いてくださっている多くの方々がいる。その方たちを東電は人として見てないな、と感じている。

◆河本さん
 私も本人尋問の1人に選ばれてしまったので気が重い。私の場合は避難の権利も認められなかったので、内心「何でわからないの!」って思うんだけれど、なんとか認めてもらえるように考えて、頑張ろうと思うので、これからも応援してほしい。

◆福島さん
 6月17日の最高裁判決にはみんな心が折れそうになったと思うけど、あれは「反原発で闘ってきたことは正しかった」と思わせてくれた判決だった。
 ひだんれんの交渉でわかったことだが、避難者数が意図的に減らされている。復興庁は家を持った人は避難者として勘定していないし、避難区域解除した区域の人を避難者とは認めない自治体もある。だけど、ここにいる私は避難者だ。これからも避難者としてやっていくので、力を貸してほしい。

◆小林(雅)さん
 6月の期日の時に、夫から肝臓の数値が高くてすぐ入院と言われたと連絡があり、頭が真っ白になったが、結局胆石が原因とわかり、7月に手術をした。その間何回も福島と京都を行ったり来たり。原発事故がなかったら何度も往復することもなかったし、それも事故の被害だと思っている。
 最高裁判決の日、私は高木さんと最高裁前にいた。多数意見は、何をやってもどんな手立てをしても事故は起こるんだから国に責任はない、簡単に言うとそういうことだ。普通の思考回路だったら、国に責任があるのは当たり前だ。あんなアホな判決は絶対に覆さないといけない。

◆萩原さん
 ある時、下の子は「自立できてると思ってたけど、そうではなかったんだ」と気がつき、これからはどんな些細なことでも寄り添って生きていこうって心に決めた。でも、中学2年生の時に起立性調節障害と診断されて、学校に行かなくなり、朝晩のリズムが狂って、よけい体調が悪くなっていった。自分と家族の心身の健康のために、リンパドレナージュ、ゴッドハンドの整体の数々、ヒーリング、チャネリングまで習ったが、肝心の娘が受けてくれない。
 その後もいろいろと学び続け、私の心を癒すことで娘の調子も良くなることを確信するようになった。そう気が付けたのは、皆さまがさまざまな形で関わって下さったからだ。

◆高木さん
 小林さんと最高裁に行った時、「こんなことになったか」と悔しくて、「バカみたいな判決だな」と思ったけど、田辺先生が「心配することはない」とおっしゃったので少し安心した。
 明日、奥森さんと話をすることになっていて、資料を作りながら11年間を振り返ってみると、いろんな人とつながる中で助けられて来たな、京都に避難して良かったなと思った。
 ところで、コロナの状況の中でいろいろな給付金が出た。こんなにお金があったの、国には!と思った。原発事故当時、私たちは仕事が休みになっても給料の保障なんてなかったし、持続化給付金もなかったし、「なんで私らは、こんな苦しい思いをしなくちゃいけないの」と改めて思った。
 
◆明智(礼)さん
 (ZOOM参加)
 今はいわき市の実家に帰っているが、放射線を受け入れているわけではない。地元にいるのもこわい、京都は第二の故郷という感じだけど遠い。自分の居場所はどこなのかと考えてしまう。でも、原告の皆さんと繋がっていることが嬉しい。
 私も京都の大学の大学院生で、京都の大学に進学することが決まっていた時に原発事故が起こり、私は自分の専攻を原発事故による被害や地域がどういう影響を受けたのかという方向に転換したが、京都で本来やりたかった勉強も思う存分やることができた。また皆さんに会いに大阪高裁に行きたい。
 
 このあと九州訴訟原告の内藤さん、 関西訴訟原告の武石さん、子ども脱被ばく裁判の会・共同代表の水戸喜世子さんなどからあいさつを受けて閉会しました。

 この日で、原告側の主張はいったん終わり、国や東電の反論を待って、再反論を行なうことになります。次回はすでにご案内のとおり、12月7日(水)14時30分開廷と決まりました。
  
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●最高裁判決をどう乗り越えるか

◆田辺保雄 弁護団事務局長

 6月17日、最高裁が判決を出した。あれは事例判決なので、他の同様の裁判があれに従う必要はないというのが建前なんだけど、実際には同じような主張や立証活動をやっている裁判で最高裁と違う判決を下級審の裁判官が書けるかというと、すごくハードルが高いと思う。そこをどう乗り越えるかということだが、まず最高裁判決は全員一致ではなかった。3対1で、多数意見は国の責任を否定したが、三浦裁判官(検察官出身)の膨大な、しかも説得的な反対意見が付されている。

 ポイントは2つあって、まず国の責任は国家賠償法に基づいて、公権力の行使に違法性があるかどうかで判断する。この違法性の中に予見可能性とか結果回避可能性とか、その他いろんな要素を含めて検討することになっている。多数意見も津波が来ることは予見できたという前提で書いている。ただ、ちゃんと判断を明記していない。結果を回避できたかどうかだけを判断している。地震本部の長期評価は過去400年に起きた津波地震を基に今後起こり得る津波地震を予測したものだが、過去400年には福島県沖で起きた記録はなかった。

 でも、三陸沖から房総沖にかけての日本海溝沿いの海底の構造は同じだから、どこでも起こり得ると予測した。2008年に東電は東電設計に明治三陸沖地震が福島県沖で起こったら、どういう津波が来るかを計算させたところ、敷地の一部に敷地を超える津波が来るという結果を得た。多数意見は、その結果に基づいて防潮堤を造ったとしたら、敷地全部ではなく、津波が来るとされた箇所だけに防潮堤を造っただろうから浸水は防げなかったと結論づけた。しかし、実際に予測以上の津波が来ない保証はないし、大きさだけでなく、津波が到来する場所だってわからない。

 ただ、敷地を超える津波が来ることは分かってる。そういう中で技術者だったら、敷地全体を守っておかないとだめだと考えるはずだ。
 津波工学の今村文彦教授という人が裁判で証言したことがある。最初に東電設計の計算結果を示され、「こういう場合にどういう防潮堤を造るんですか?」と質問されて、考えるまでもなく北から南までざっと線を引いた。ところがあとになってその答えをひっくり返した。「突然訊かれたから、よく考えずに答えてしまった」と。

 もう1つは、水密化の問題。そもそも防潮堤が必要なところに設置許可は出さない。建設当時はそんな巨大津波が来るとは誰も想定していなかった。だけど、途中で敷地が津波で浸水するかも知れないとわかった時にどうするか。防潮堤を越えて浸水した時を想定して重要な建物や機器の水密化(各種の防水工事)をする。ところが多数意見は、当時は水密化という考えはなかったと言っている。IAEA(国際原子力機関)が当時発行していた「セーフティガイド」をみると、まず防潮堤で水が入らないようにする、だけどそれだけではだめで、水が入ってきた時を想定して防水をしなければならないと書いてある。菅野裁判長は知らなかったのかもしれないが、事実と違うのでちゃんと反論したい。

 他にもいくつかあって、1つはシビアアクシデント対策の問題。想定していない問題が起きても、大事故につながらないように対策をしておく。それが事故前には法制化されていなかった。日本ではアクシデント・マネージメントと呼ばれて検討されていて、国は導入しようと思っていたようだが、電力会社側が取り入れようとはしなかったという問題。

 最後のとどめが貞観津波。長期評価はあくまで予測の問題だが、貞観津波は実際過去に到来している。実は、われわれも貞観津波はあまり取り上げて来なかった。というのも、どこの裁判所でも長期評価だけでそれなりの成果をあげてきた。しかし、最高裁判決が長期評価をあんな変な取り上げ方をしたので、これまであまり主張して来なかった問題も整理して主張していきたい。

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●特別報告者の訪日調査が終了
  福島原発事故の避難民への支援は無条件であるべきと国連の専門家は述べた

 ジュネーブ(2022年10月10日)‐国連の専門家は、福島第一原子力発電所の事故から11年が経つ今も避難を余儀なくされている3万人以上の人々に対して、制限を設けず、人権とニーズに基づいた支援を提供するよう日本国政府へ促した。その対応は、影響を受けた地域の復興にも適用されるべきである。

 「これら地域における長引く放射能への恐怖や、教育、医療、職などの基本的サービスへのアクセ ス面での不安もあり、出身地域に戻れないまたは戻りたくない避難民は多い」と国内避難民の人権を担当する国連特別報告者セシーリア・ヒメネス=ダマリーは述べた。

 また、専門家は、国内避難民(日本では一般的に避難民と呼ばれる)をその避難が災害の影響を恐れてであっても、強制避難命令のためであっても区別はしてならないと強調した。

 ヒメネス=ダマリーは10日間におよぶ訪日調査の暫定的考察において、「国内避難民の保護と支援」は、人権とニーズに基づくべきであり、国際人権法を根拠としないステータスを基にした区別で決めてはならない」と話した。

「すべて国内避難民は、日本国民としての権利権限を同じく有し、避難が強制か自主的かで区別して支援する実践は無くす必要がある。」

 2011年の災害以降、国内避難民は、住宅、医療、生計、参加、子どもの教育を含む基本的な権利へのアクセスにおいて、難題に直面した。「解決策を恒久的なものにするため、住宅を含めた十分な生活水準を得る権利、生計や職へのアクセス、帰還が求められている出身地域を含め避難に関連する権利の侵害に対する効果的な救済を確保するための条件を整えなければならない。」と特別報告者は述べた。

 避難民が帰還するか移住するかについて決断をするには正確な情報が重要である。彼らが最も適切かつ恒久的な解決策を自由に選べる権利を保証する事も不可欠であり、この選択は帰還を条件に支援をする施策によって妨げられてはならない。

 「避難を続ける国内避難民のために、特に最も脆弱な世帯への住宅支援の提供と、全ての国内避難民が持続可能な生計を営むための支援など、基本的支援は継続するべきである」と特別報告者は述べた。また福島県の復興に関しては、国内避難民と地元に残った人々双方のニーズや権利に基づき、地域をベースとするアプローチを採用するよう当局に促した。

「社会的結束を固めるには、国内避難民および福島県に現在住んでいる人々の双方が対話に参加し、すべての情報が提供され、復興に関する決定に自由に参加できることが重要である」とも述べた。

 特別報告者は東京都、福島県、京都府、広島県を訪れ、行政・立法担当者、市民社会団体、弁護士、学術研究者らと会合を持った。また原子力事故の影響を受けた国内避難民とそのコミュニティからも話を聴いた。

 特別報告者による本調査の全体報告は2023年6月の人権理事会で発表される。


◆ダマリーさんの記者会見を視聴して

・原告 小林雅子
 ダマリーさんは6つの権利について、提言されていました。
 ①安心・安全と住宅への権利②家族生活への権利③生計への権利④健康への権利⑤教育への権利⑥参加への権利―この中で、私の心に一番響いたのが「参加への権利(自分たちに影響を及ぼすような決定のプロセスに当事者が参加する権利)」です。

 「参加への権利」至極当然の話なのですが、原発事故からずっと、とりわけ避難者の意見は、国、福島県、東電から無視され続け、声を上げれば叩かれての日々で、「自分は何か間違ったことをしているの?」と思ってしまった方や、バッシングを恐れて不安を口に出来ない方も大勢おられるのではと思います。
 私自身、頭の中では「参加への権利」をわかっていても、身体に身についていなかったように思います。ですから、ダマリーさんが「参加の権利」について言及された時は、「ハッ」となりました。「理不尽な目にあったら声を上げていい、それは当然の権利だ」ということをあらためて認識させられ勇気をもらいました。そして、福島に住んでいて、不安を口に出来ないでいる人たちに「間違っていないんだよ、もっともっと不安を口にしていいし、声を上げていいんだよ」と伝えたいと思いました。

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●支援する会第8回総会開く

 7月31日、支援する会第8回総会&「控訴審勝利を!第11回学習講演会」を開催しました。
 今年度の活動方針については奥森事務局長から、①6/17最高裁不当判決を乗り越え、控訴審での勝利判決をめざす取り組みとして、最高裁判決の問題点と三浦反対意見の意義を社会的に広げる。大阪高裁の裁判官に市民の声を伝える「一言メッセージ付き署名」を全国から集中する、②控訴審での勝利をめざす学習講演会を引き続き開催する、③原告団全国連・全国支援ネットなどと連携し、共同要求を実現する取り組みを強める、④原子力損害賠償紛争審議会の「中間指針」の抜本的な見直しを求めて行く、⑤国内避難民の人権に関する特別報告者による訪日調査を支援する、⑥年会費の更新、新規加入を引き続き呼びかける、という提案があり、確認されました。

 前年度決算および新年度予算案については上野事務局次長(会計担当)から、4月~6月の最高裁弁論・判決行動に代表派遣し交通費を執行していることから、前年度より約20万円多い予算案が提案され、了承されました(別表参照)。

 会の共同代表(石田紀郎さん、平信行さん、橋本宏一さん)、事務局体制はこれまでどおりです。
 結審まで約1年というところまで来ました。最後まで、ご支援のほどよろしくお願いします。

 (なお、学習講演会は、福島原発事故賠償問題研究会の代表である吉村良一・立命館大学名誉教授にZOOMで、「原賠審・中間指針『見直し』の課題―原賠研の提言と原賠審の動向」についてお話いただきました。論点が多岐にわたり、かいつまんで報告することが難しいため、興味のある方は、支援する会のホームページに掲載しているので、それをご覧ください。)

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 原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会
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