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★ 「原告と共に」No33 2020年11月発行 

● コンテンツ

10/14第7回期日は満杯で抽選に! 生業訴訟 仙台高裁で国の責任を
認める判決!


 新型コロナウイルスの影響で5月13日が取り消しとなった京都訴訟の控訴審第7回期日が10月14日に行なわれました。一般傍聴席29対し45名が並び、無事抽選となりました。原告の参加もいつもより少なく、4名での入廷行進となりました。法廷でのプレゼン内容は2~3面、報告集会の進行については4~5面を参照ください。
 
 9月30日に生業訴訟の控訴審判決が仙台高裁において出されました。
判決は、地裁段階で負け続けたあとに、国が必死に主張して来た言い訳(長期評価は信頼できるものではなかった、原発の規制は絶対的安全論ではなく相対的安全論に依拠している、東電設計の津波計算に基づいて防潮堤を建設していたとしても、それは北側と南側だけで東側からの津波を防ぐことはできなかった等々)をすべて認めず、国は「規制当局に期待される役割を果たさなかった」と断罪しました。また、損害の認定範囲を中間指針の区域よりも拡大し、損害額も増額したことは評価できます。

 ただ、避難指示区域内と区域外とでは損害認定額に大きな差が存在しており、原告のほとんどが区域外避難者である京都訴訟が、区域内と区域外の壁に穴を開けるべく、裁判所に損害の実態を理解してもらう更なる努力が必要だと思います。一層のご支援を!

●原告メッセージ

 毎年8月になると初めて京都へ来た日のことを思い出します。当時は、見知らぬ土地での生活に大きな不安を感じる一方、放射能から解放された気持ちや地元に残してきた家族への申し訳なさ等々で複雑な心境でした。

 私は京都へ来て丸9年になりますが、自分の生活も落ち着き、子どもたちもみな独立して生活ができていることは有難いことだと思います。この9年間を振り返ると、これまでそっと寄り添ったり、支えて下さったりする方があったから私は頑張ってくることができたのだと感じています。この裁判でも支援する会の皆さんの応援はとても大きな力となっています。改めて感謝申しあげます。これからも「一人ではない」という心強さを胸に、体験を伝える大切さを忘れずに頑張りたいと思います。今後ともよろしくお願いします。
                                    堀江みゆき

◆ 年度内に判決を迎える訴訟日程 ◆
2021年
 1月21日(木) 群馬訴訟 控訴審判決(東京高裁)
 2月 3日(水) 南相馬20mSv訴訟判決(東京地裁)
 2月19日(金) 千葉第1陣訴訟 控訴審判決(東京高裁)
 3月 1日(月) 子ども脱被ばく訴訟判決(福島地裁)

●控訴審第7回期日報告
 10月14日は、京都訴訟の控訴審第7回期日でした。新型コロナ感染症の影響で、傍聴席が特別席1、一般席29に制限されました。抽選になるくらい傍聴に来てほしい。でも、いつもと同じように来られると法廷はもちろん、報告集会(定員の半数に制限)にも入れない人が出てくる中、どういう風に案内したらいいのか悩みながらの「宣伝」でした。
 当日、原告の参加もいつもより少ない7名。しかも、入廷行進に間に合ったのは4名のみでしたが、正門前で支援者の方たちが暖かく出迎えてくれました。そして、傍聴券を求めて並んだ方は45名。抽選に漏れて模擬法廷に参加した人は名でした。
 法廷では、3つの準備書面について原告側のプレゼンが行なわれました。今回は、並行して行なう模擬法廷からZOOM配信しました。模擬法廷では、弁護団作成のプレゼン動画を放映しました。
 以下、3本のプレゼンの要点をまとめました。

◆竹沢・伊東・大倉意見書(白土弁護士)
 竹沢・伊東・大倉意見書に基づき、原告らが精神的に被った被害実態を明らかにする。意見書は、原告全員に対して実施した改訂出来事インパクト尺度(IES-R)の結果に分析を加えたもの。このチェックリストは、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の有無をスクリーニングする手法として国際的に確立されている。

 具体的には、22の質問項目に「全くなし」(0点)から「非常に該当する」(4点)までの5段階で答えてもらい、その点数の合計が25点以上になる場合、PTSDの可能性があるとされる。過酷な出来事を体験したりして、強い恐怖感や無力感などの精神的ダメージを受けた人が、①社会的支援が不足しているとき、②日常生活のなかで二次的ストレスにさらされているときにPTSDを発症しやすいとされる。

 具体的な症状としては、①過去の記憶が不意によみがえるフラッシュバックなどの「侵入症状」、②トラウマ体験の想起を避けようとする「回避症状」、③精神的な緊張状態がつづく「過覚醒症状」がある。
 成人原告のチェックリストを見ると、25点以上の「ハイリスク者」が55・9%を占め、平均点数も28・78点と25点を大きく上回る高水準だ。阪神淡路大震災で自宅崩壊などの過酷な体験をした被災者を対象とした調査(3年8か月後)ではハイリスク者が39・5%、新潟県中越地震で仮設住宅に暮らす被災者の調査ではハイリスク者が3か月後に21・0%、13か月後に20・8%だったことと比較しても数値の高さがわかる。

 意見書では、ストレスを高める要因を分析し、①経済的困難、②身体的異変、③人間関係上の困難、④社会的孤立をあげている。
経済的困難については、避難に伴う失職・転職があり、再就職しても収入減・不安定雇用など経済的悪化を伴っているケースがほとんどであり、その不利益は一時的なものではなかった。夫が避難元に残った母子避難の場合も二重生活による生活費の増加、子どもの成長に伴う教育費の増加などで貯えがなくなった原告もいた。

 身体的異変については、約半数が原発事故直後に下痢、肌荒れ、鼻血などを経験している。甲状腺検査では「要経過観察」が35・9%、「再検査が必要」が6・3%と成人原告の4割以上に異変が見つかっている。

 人間関係上の困難については、避難先で「親切な人びとに助けてもらうことがあった」人が56・8%いる反面、「避難者であるという理由で誹謗中傷を受けた」人が29・6%、「孤独感を強めた」人が43・2%と人間関係上の苦痛に苦しむ姿が浮かび上がる。また、子どもが学校でいじめや嫌がらせを受けた事例も複数みられる。

 社会的孤立については、避難によって避難元でのコミュニティから分断されるとともに、親子関係や友人関係が悪化した。その結果、避難したあと「相談や日用品の貸し借り」をする親しい人が「0人」と回答した原告が41・9%に上っている。避難生活が長期化すればするほど、元のコミュニティとは疎遠になるが、帰還してもPTSDリスクの高い原告の割合は高いまま推移しており、帰還してもコミュニティの中で精神的安定を得られていないことがうかがえる。

 原告らは、避難以来長期にわたり二次的ストレスにさらされ続け、社会的支援も決定的に不足している。これらの被害実態に対して相応の損害評価をしていただきたい。

◆辻内意見書の位置づけ(井関弁護士)
 本件事故は、われわれが一度も経験したことがない事故であり、その被害も未曾有、一度も経験したことがない被害が生じている。その基本的な証拠は原告の陳述書、関連書証、原告尋問調書であり、その精査を求めたい。ただ被害実態の特徴が見えにくい面もあるので、避難者一般の被害実態については辻内意見書、滞在者一般の被害実態については成(ソン)意見書、原告の被害実態については陳述書分析とストレスアンケート分析、それぞれ竹沢・伊東・大倉の意見書を提出した。被害実態をいろんな切り口で「見える化」したものだ。

 ここでは、辻内意見書が明らかにした原発避難者の被害実態の要点を述べる。
 辻内教授は、原発避難者を対象に2012年から毎年IES‐Rテストを織り込んだアンケートを実施し、ストレス度を測定してきた。当初、平均値が36点、25点以上が67%と、驚くべきストレス度の高さだった。その後、少しずつ低下したものの、6~7年経過しても、平均値が25点前後、25点以上が半数近くを上下する状態が続いている。

 辻内教授は、2016年以降、うつ病や不安障害のリスクを測定できるK6テストを織り込んだアンケートを実施し、ストレス度を測定してきた。13点以上だと重症の精神疾患である可能性が高いとされており、一般住民の場合は13点以上の割合は3%とされる。原発避難者は5年を経過してもその割合が20%を超えている。

 中間指針では、区域内避難者は「避難に伴う不便」、区域外避難者は「被ばくの不安」を損害の核心と考えて慰謝料が算定されたが、これは被害実態の一部しか考慮していない。

 京都訴訟の原告のほとんどは区域外避難者だ。原判決は、中間指針によりかかって区域外避難者の慰謝料額を区域内避難者の慰謝料額と比べて著しく低額に算定した。しかし、辻内教授のアンケート調査により、区域外避難者のストレス度は区域内避難者のそれと遜色なく、福島県や宮城・岩手の津波避難者より有意に高いとの結果が出た。

 したがって、区域外避難者の慰謝料額は、区域内避難者と格差をつけてはならず、中間指針はもちろん、原判決の抜本的見直しが必要である。

◆低線量被ばくについて(高木弁護士)
 本行意見書は、①放射線感受性には個人差がある、②若年層において放射線感受性が高く、影響が現れやすい、③複合影響でリスクは高まる、④甲状腺多発は原発事故の影響が否定できない、としている。

 放射線感受性の差異は、遺伝子の異常、遺伝的な個人差、生物学的半減期の個人差によって生じる。ICRPが採用している「しきい値」概念にも問題がある。
 正常な細胞は、放射線を浴びるとDNAを損傷するが、DNA2本鎖切断の修復に関与する遺伝子に異常がある場合、放射線感受性が高くなり、女性は乳がんや卵巣がんに、男性は前立腺がんになりやすいことが知られている。

 遺伝的なわずかな違いによっても放射線感受性には差異が生じる。甲状腺へのヨウ素取り込みには、遺伝子の比較的小さな差異によって個体差があることが明らかになっている。また、油性ヨウ素を含んだ造影剤を用いて子宮卵管を造営したケースで、双胎のうち一児にのみ胎児甲状腺腫を認めた事例が報告されている。

 生物学的半減期と組織重量は個人差が大きいことも知られている。生物学的半減期は、実際に個別に見ると非常に大きなばらつき(最大で100倍くらい違う)がみられる。セシウムの生物学的半減期が10倍違えば、実効線量は10違うことになるので、最も感受性の高い人に合わせる必要があるが、通常は平均値でしか語られない。

 「しきい値」にも問題がある。一般的な用語で「しきい値」とは、「ある作用因が生体に反応を引き起こすか引き起こさないかの限界」と定義されるが、ICRPがいう「しきい値」は、その値未満では生体に影響が出ないのではなく、放射線感受性の高い1%未満の人にはすでに影響が出ていることを意味している。自身がその1%に属していることを懸念して、被ばくを避ける行動を取ることには合理性がある。

 年齢が若いほど放射線感受性が高い理由としては、①若いほど細胞分裂が盛ん、②胎児や子どもは増殖能の高い骨髄(いわゆる赤色骨髄)の占める割合が高い、③皮膚が成人に比べて薄いため各組織がより多くの影響を受ける、④被ばく後の生存期間が成人より長く、潜伏期間の長いがんが出現する可能性が大きくなる、などがあげられる。

 放射線被ばくによる健康影響を考える際には、複合影響のリスクも考える必要がある。これは、一度少量の放射線を浴び、それだけでは腫瘍が生じることはなかった場合でも、のちに様々な有害物質(たばこ、アルコール、薬物)や医療被ばく(CT検査等による被ばく)にさらされることで発がんリスクが高まることを言う。

 福島の甲状腺がんについて、「チェルノブイリと福島では被ばく量が違いすぎる」との主張があるが、チェルノブイリの被ばく線量が過大評価される一方、福島の被ばく線量が過少評価されている。

 スクリーニングで潜在がんを早く見つけただけだという見解があるが、少なくとも2巡目以降に発見されているがんの多くは原発事故により被ばくの影響を受けているといえる。また過剰診断ではないか(予後の良好な小さながんまで見つけている)との見解もあるが、手術対象とされた甲状腺がんの多くが侵襲性が高く手術を要するがんだったことが実際に治療にあたった鈴木眞一医師によって明らかにされている。

 また、一般に若い世代における自然発生の甲状腺がんは、年齢が高いほど発症率が高まる傾向があるとされる。福島の小児甲状腺がんの年齢別発生頻度を見ると、1巡目では「年齢が高いほど症例数が多くなる」傾向が見られるが、2巡目以降はそうした傾向は全く見られない。このことは、原発事故による放射線被ばくの影響による症例であることを示唆している。

 放射線に対する個人差は極めて大きいことや複合影響のリスクがあることを考えれば、危険な場所から遠ざかろうとする(避難する)ことは当然の行為に他ならない。

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●期日報告集会

 閉廷後、中央公会堂小集会室で報告集会を行ないました。会場からZOOM配信するという初めての試みでしたが、ZOOM参加していた人によると「映像もきれいでよかった」とのことでした。以下、発言順に要旨を掲載します。

◆川中弁護団長
 今年3月に仙台高裁で(いわき避難者訴訟の)判決が出て、「ふるさと喪失慰謝料」を認めた。東電は、元最高裁判事の千葉勝美らの意見書を最高裁に提出し、「仙台高裁判決は間違っている、慰謝料が高過ぎる」と主張している。最高裁判事だった人が係争中の一方の代理人になるなんて倫理的に問題だ。9月30日に同じ仙台高裁が判決を出した。国は全然責任を果たさず、東電の言いなりになったと指摘し、スカッと胸に落ちる判決だった。福島地裁が認めた賠償額の倍の10億円まで認めた。これを励みに、われわれも頑張ろう。

◆橋本宏一共同代表
 今日、裁判長が冒頭で5月の裁判が取り消しになったことをお詫びすると言ったので、少し溜飲が下がった。
 弁護団の弁論で、改めて「なんで避難しなければならなかったのか、避難することはどういうことだったのか」を知らされた。生業訴訟は双方が上告したようなので、賠償額についてはまだまだ満足できる金額ではないということかと受け止めた。
 京都訴訟では仙台高裁を超える判決を出させようとの意気込みを今日の弁論で感じた。今日の素晴らしい弁論をいろんな手段を使って知らせ、闘いを広げていけたらと思う。

◆弁護団報告
・白土弁護士
 今日は読み上げなかったが、裁判官に読んで欲しくて原告の生の声を載せた。
 前回(注・原告の陳述書を基にしたアンケート調査結果に関する意見書)は、原告総体として、どういうところに苦しみを抱えているかを陳述書の分析から明らかにしたが、今回はその要因がどういうところにあるのかへと進めたものだ。
 二つをまとめて、被害実態をより精緻にすることができたのではないかと思う。

・井関弁護士
 準備書面を書いていて一番腹立たしかったのは、原判決が損害賠償については全面的に中間指針によりかかって算定したことだ。
 辻内先生は数年前の東京地裁に続き、9月に埼玉地裁で証言されたが、ほぼ100%の証言ができたと聞いている。その尋問調書を追加で提出したい。
 学者の証人尋問については、本行先生はすでに申請済みで、竹沢先生も申請したいと考えている。

・田辺弁護士
 本行先生の意見書については東電から反論が出ている。本行先生のような考え方は、アララの原則(注・放射線を伴う行為のメリットが放射線のリスクを上回る場合は、合理的に達成可能な限り被ばく量を減らして、放射線を利用するというもの)に反するというもの。その考え方がおかしいということで反論していく。
 因果関係については考えていることがある。子ども脱被ばく裁判が結審したが、この裁判で被ばく者医療に携わってこられた郷地医師が内部被ばくについて証言された。すでにひょうご弁護団が中心になって、その証言内容を整理しているので、それも活用して内部被ばくについて主張していきたい。
 今日はプレゼンしなかったが、国際人権法についても主張している。人権条約で定められた権利を裁判所はなかなか認めない。しかし、健康に対する権利はわれわれにとっては核心的な権利なので、日本の法律としても受け止めるべきだと主張していきたい。

◆生業訴訟の控訴審判決と今後の見通し(田辺弁護士)
 国は、当初地裁段階で負け続けた。途中から、後付けで専門家の意見書を一杯出してきた。
 長期評価は、三陸沖から房総沖までどこででも津波地震が起こる可能性があると指摘したが、国は、東北大の今村教授に「とてもそんな広い範囲で起こるとは思わなかった」という意見書を出させた。それに影響されたのか、それ以降原告側が負ける裁判が増えてきた。
 国の責任を認める仙台高裁の判決が出たので、各地の訴訟団は裁判での主張をもう一度見直していく必要があるのではないかと思う。
 来年1月と2月に東京高裁で群馬と千葉(第1陣)の判決が出る。ここで、もし国敗訴の判決が続けば、3月には大きな運動の波があると思う。ただ私たちとしては、損害の実態をきちんとわかってもらうことが大事で、それが責任論にも影響してくると思っている。

◆原告告の感想・思い
*H・Mさん
 今日は原告7名が参加していて、Iさんは福島から参加してくれている。今日は、弁護団の陳述を聞いて、うなずける内容だったと思う。私たちのことがよくわかる内容だったし、これで勝てないはずはないと思った。個人的なことだが、洛西から茨木市へ引っ越したばかりで大変で、今日は片頭痛がひどい中を参加した。先日の生業訴訟判決でも、県外の人には厳しい内容だったなと思った。区域外避難者の集団訴訟である私たちはもっともっと頑張らないといけないと思っている。

*K・Cさん
 裁判が長い間行われない中で、自分に起こったことなのに、なんか漠然としてきてしまって、今日のプレゼンで自分たちに起きたことやストレスになったことがまとめられていて、「ああ、そうだった」と思い出して、自分のことなのに忘れていたことに気づかされた。
裁判になって、あの人たちが責任を問われても責任はないと言うのを見て、私たちはこの辛さを何にぶつけたらいいのか、非常にむなしく感じた。何を認めてもらい、謝罪してもらいたいのかということを忘れないでしっかり持って、私たちが裁判しているのを知らない人もたくさんいるので、その人たちに伝えていけたらいいなと思った。

*I・Rさん
 先日「原告だより」(支援する会の会報「原告と共に」のコーナー)に寄稿させてもらった。私はいつも端っこの方にいて、だいたい前の人が私の言いたいことも言っちゃって、話出しても、話がまとまらず訳が分かんなくなるということだったけど、今回文章で寄稿することができた。
 今日裁判を聞いていて、まだ言いたいことがあるなって思えたので、もうちょっとこの場所に居させてほしい。

*K・Aさん
 今日の裁判を聞いていて、これだけPTSDのリスクが高いんだぞって言いつつ、回復していくことを同時にしていかないと自分がつぶれてしまうと感じた。原告同士で助け合うというか、高め合っていかないといけないと思った。ZOOMで参加している原告さんがいたら、ZOOM飲み会などにもぜひ参加してほしい。

*K・Mさん
 先日テレビでアメリカの番組をやっていて、屈強な男4~5人がUFOの基地があるという洞窟の中に入って行き、突然「0・6マイクロ、1マイクロ、2マイクロ…、命の危険がある」と言って逃げて行った。私たちはもっと線量が高いところに居たのに…。
 「フクシマ・フィフティ」という映画を観たが、ベントをしに行き失敗した作業員が「もう一度行かせてくれ」と言うと、渡辺謙や佐藤浩市が「被ばく線量がミリになるから行かせられない」と答える。福島ではミリに近いところに住まわされている。
 裁判をやるのは疲れるし、日々の生活も大変だけど、怒りを燃料にして頑張っていきたい。

*H・Yさん
 先生たちがまとめてくださった資料の中に避難した子どもたちの6人に1人が引きこもりになっているとあった。娘も1年以上学校に行けなかったが、今は学校に行き、それなりにレポートも出し、テストも受けることができている。PTSDを乗り越えるためには、話すこと以外にないと聞いた。私が未来についてかなり希望にあふれるようになってきたのは、苦しい中でも語り続けてきたことが力になっていると思うので、原告さんとももっと話をしていきたい。

*S・Yさん
 非日常がずっと続いているのが苦しくなっていたが、メリハリをつけるようになってからは気持ちが楽になった。ずっと交感神経が高ぶっている状態が続いていたので、今日の資料を見て「これ、自分にも当てはまるかも」と思いながら聞いた。
 福島にいる家族からは帰って来いと言われているが、下の娘が来年高校生になり、私も今している仕事が来年も継続されそうなので、しばらくはこちらで頑張っていきたい。

*S・Mさん (ZOOM参加)
 2月の期日以来8か月が経ったが、その間も原告同士でつながろうとZOOM飲み会を開いて、みんなでワイワイ話をしたり、支援する会では学習講演会を開催してモチベーションを繋げようと頑張って下さった。今日、こういう形で皆様の顔や声が聞けて、また明日から頑張っていける気がする。

*F・Aさん(ZOOM参加)
 いま仕事が終わりました。今日、宮城県の原発が再稼働しそうなニュースを見たが、京都訴訟には仙台からの避難者もいるので、私たち自身が自治体にプッシュしていけるような判決をかちとらねばと改めて思った。みなさんと一緒に歩んでいきたい。

  ***      ***      ***

 このあと、関西訴訟原告を代表して副代表の佐藤さんが、ひょうご訴訟のぽかぽかサポートチームを代表して久一さんが、そしてZOOM参加のひろしま訴訟原告の渡部さんがそれぞれ挨拶されました。
 また、竹沢先生と一緒に意見書を書かれた伊東先生がZOOMで参加され、九州訴訟の現在の取り組みについて報告されました。

 会場参加者は延べ名、ZOOM参加者は名でした。
 なお、次回期日は来年1月14日(木)、次々回は3月18日(木)に決まりました。

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●原告だより

 コロナが広まってきてから生活も変わりましたが、必ずマスクをする、常に消毒するなどの意識を続けるのは簡単ではないです。思い出せば9年前の今頃も同じようなことで苦しんでいたなとよみがえってきます。コロナになってから「ああ、放射能を怖がるってこういうことだったんだ。避難者の人たちの思いがやっとわかった」とある人に言われて、なるほど、やはり実際に体験しないと伝わらないんだなと改めて思いました。でも、それでも私たち被災者をずっと応援してくださっている皆さんには感謝でいっぱいです。これからもよろしくお願い致します。
                                       斎藤夕香

 2011年8月24日に福島市から京都へ避難をしてから丸9年が過ぎました。あっという間の9年間でしたが、色々な人たちに助けられ、今日まで生き抜くことができました。
 裁判を応援してくださる皆さまには、いつも励まされ心強く思っております。
 コロナ禍で皆さまと直接お会いする機会がなかなかございませんが、今後とも応援よろしくお願いいたします。
                                       小林雅子

 支援してくださる皆様には心より感謝申し上げます。そして皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
~はるか遠くの地より~
                                       匿名希望


 「原発の汚染水はコントロールされている」と、当時の安倍首相が言って決まった東京オリンピックは、今やコロナで最大のお荷物になっている。
 “福島の復興のため”と、福島からスタートするはずだった聖火リレーの中止の連絡は、大会組織委員会から直接福島の自治体にはなかったと地元の新聞に書いてあった。
 今やその建前すら跡形もない。
 汚染水の海洋放出も、反対する地元の声などまったく無視だ。
 原発事故もコロナ対応も、政府は国民のことは考えていない。
 生活を踏みにじっておいて、”復興“の言葉を利用し、簡単になかったことにするこの国のあり方を、改めて認識する。
 女川の再稼働の話もショックだった。県の首長も、国と同じである。
 敗戦から何十年経っても、永遠に反省を続けなくてはならないように、 原発事故も、十年経ったから、 うやむやにできるというものでは決してない。私達の苦しみをなかったことにするのは許さない。
                                      近藤香苗

 この裁判を闘い続けることができるのは、支援者の方々が我が事として支えてくださっていることがとても大きいです。支援者の皆さまのそれぞれの立場からのそれぞれのサポートが、京都訴訟団を強化してくださっています。違いを認め合い、違いを繋ぎ合わせて、この厳しい裁判を乗り切っていきたいです。心から感謝しています。
                                      M.S
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