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★ 弁護団 報告 (18/11/25 原告団を激励する集い) 

弁護団 事務局長 田辺保雄

1 全国における原発事故賠償訴訟

 国の責任を問う訴訟としては,前橋,千葉,生業,京都,首都圏と5つの判決があり,うち千葉を除いて4つの地裁で国の責任が認められた。そのほかに東電のみを対象とした小高に生きる訴訟,浜通り訴訟も地裁判決のあと,控訴審に移行している。
 地裁レベルでは,来年2月から3月にかけて千葉第2陣訴訟,神奈川訴訟,愛媛訴訟の判断が出る。このうち,千葉第2陣訴訟(8月30日結審)については,国から弁論再開上申が提出されている(裁判所の判断は不明)。
 また東京地裁における阿武隈会訴訟では,筒井哲郎氏・後藤政志氏の証拠調べが先日(11月19日)に実施された。
 高裁では,12月13日に前橋訴訟控訴審が今村証人の証拠調べを実施する。

2 京都訴訟の位置づけ

 京都訴訟は区域外避難者を主体としている点に特徴がある。区域外避難者の訴訟としては,首都圏訴訟とともに一番,進行が早い。
 区域外避難の問題については,地元メディアの扱いも含め,注目度が少ない。被害の存在を社会的に認知させることから始めなければならず,市民による支援が必要である。

3 国の対応

 これまで規制権限がないこと,予見可能性がないこと等を中心的な争点としていたが,その後,結果回避可能性に重点を置くようになっている。また長期評価についても東電に確率的評価をさせていたと主張するに至っている。
 4つの地裁判決が国の有責を認めているが,国は精力的に責任論を補充しており,予断を許さない状況である。

4 大阪高裁での審理について

 3つのテーマがある。①国の有責性を維持し,②避難の相当性についての判断を広げさせ,③損害額を妥当な水準とさせる。
 国の有責性については,今村尋問の結果だけでなく,東電刑事事件の成果も採り入れていく必要がある。長期評価の取扱が引き続いてポイントとなる。。
 避難の相当性については,原審は「社会通念」というキーワードを用いて判断をしたが,その具体的な内容をじっくりと裁判所に理解してもらう必要がある。被ばくをさせられないことが法によって守られた権利であること,空間線量だけでなく,土壌汚染による被害の深刻性を理解してもらう必要がある。
 損害論は,まだまだ問題が山積している。包括的な利益に損害が及んでいる,と言葉で説明しても不十分である。「支援なき避難」がもたらす生活全般,人生全般に対する破滅的な影響を法理論,実態等,様々な観点から指摘していくことが必要だと考えられる。

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